確実にこの日本の中にはあります
備蓄米を放出しても上がり続けるコメの値段。このまま価格が高止まりすることを想定し、「参院選で自公与党にとって大打撃になる」との見方も根強くある。農林水産相経験者で、農政に明るいはずの石破茂首相にとっては歯がゆい展開のようだ。今後のコメの値段と共に、これとリンクするかのような石破政権の今後を展望する。
「全国のスーパー約1000店舗で販売されたコメの直近の平均価格は5キロあたり4200円を超えました。17週連続の値上がりとなり、去年の同じ時期に比べて2倍以上の価格で推移しています。今年の3月下旬から備蓄米の流通が進んでいますが、特効薬となり得ていないことがわかります」
と、担当記者。
「江藤拓農相は2月の会見で“需要に見合うだけのコメの量は、確実にこの日本の中にはあります”“流通がスタックしていて、消費者の方々に高いお値段でしか提供できていない。流通に問題があるということです”と述べました。スタックとは停滞・滞留の意味で、江藤氏は要するに、流通に関与する業者や勢力が価格上昇を狙って悪だくみをしている可能性を示唆したわけです」(同)
元々コメは足りなかったんじゃないか
降って湧いたような「令和のコメ騒動」だった。が、需給がひっ迫している状況を打破するために十分な備蓄米が放出されればコメ不足は解消されてコメ価格は安定する――という目論見は今のところ完全にはずれている。
「現在、霞が関界隈で語られているのは“元々コメは足りなかったんじゃないか”という説です。ご存じの通り日本は減反政策を続けてきましたが、過剰生産を脱しても減反は継続されました。作付面積は減る一方で気候変動の継続などによる不作や昨今のインバウンド需要増のため、民間在庫がどんどん減少して行きました。令和のコメ騒動をめぐっては“備蓄米の放出は遅きに失したが、それ以上に日本の農政の構造的な問題を象徴している”との指摘も少なくない。石破氏もそれを深く理解している1人だと聞いています」
と、政治部デスク。
では今後、コメ不足は解消されるのだろうか。価格は下がるのだろうか。その手立てはあるのだろうか。