
メタのマーク・ザッカーバーグCEO
メタバースに軸足を置くことに対する反発が高まっているにもかかわらず、マーク・ザッカーバーグは解雇されることはない。
彼は、会社に影響を与えるあらゆる決定を完全にコントロールできるようにメタを構築した。
内部の人間に過大な決定権を与えているのはメタだけではない。グーグルやスナップも同様の仕組みを持っている。
マーク・ザッカーバーグがメタを去ることはない。
メタ(Meta)が数十億ドルもの資金をメタバースに賭けていることに対して反発が高まっているにもかかわらず、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)は、彼自身が望まない限り、CEOの役割を追われることがない方法で会社を構築し、彼をアメリカ企業で最も強力なCEOの1人にしている。
デュアル・クラス・ストック(二重株式)とは?
フェイスブック(Facebook)から改名したメタは、デュアル・クラス・ストック(二重株式)と呼ばれる構造になっている。つまり、一般株主はクラスAという種類の株式を所有し、ザッカーバーグと少数の内部関係者はクラスBという種類の株式を所有している。
クラスBの株主は1株につき10票、クラスAの株主は同1票しか投票できないため、ザッカーバーグをはじめとするクラスBの株主は基本的に無敵だということになる。しかも、ザッカーバーグだけで同社のクラスB株の90%を保有している。彼1人で絶対的な支配力を維持するのに十分な量だ。
投資家に残された選択肢は少ない
一般的に、株主は会社に影響を与える問題に対して平等な発言権を持つ。つまり誰が所有していたとしても、1株につき1票しか投票権がない。
しかし、ザッカーバーグの会社では、そうではない。
2018年のCFA協会のレポートによると、この二重株式構造の支持者は「カリスマ的で先見性のある創業者や起業家が、株式市場でのパフォーマンスを過度に気にすることなくビジョンを実行するために、こうした支配は望ましい」と主張している。
フロリダ大学のファイナンス教授であるジェイ・リッター(Jay Ritter)は、この論理がメタの投資家にも当てはまると指摘する。
「今年までフェイスブックの株価は非常に好調だった。それが理由の1つとなり、投資家は議決権で劣る株でも購入したのだ」
2022年以降は、そのような考え方が変化した。多くの投資家は、メタバース構築のためにさらに多くの資金を費し、おそらくそれを失うことになるであろうザッカーバーグの計画に不満を募らせている。だが彼らに多くの選択肢は残されていない。
「株を売るのが唯一の選択肢だ」とリッターは言う。
そして投資家はその選択肢を選んでいる。2022年に入ってから、メタの株価は70%以上も下落している。