17日、ウクライナ南部ヘルソン州で、ロシア軍占領中に死亡した人の墓=ロイター
ウクライナ警察は17日、東部ハルキウ州や南部ヘルソン州など4州のロシア軍が占領していた地域で、露軍の撤退後に民間人991人の遺体を確認したと発表した。ウクライナ軍が最近、奪還した南部ヘルソン州ドニプロ川西岸地域では4か所の拷問用施設を含め住民を拘束するための施設11か所も見つかったとしている。露軍の戦争犯罪が改めて浮き彫りになった。
【動画】道路に置かれた地雷に気づかなかった?…ロシア軍の戦車が爆発
ウクライナ最高会議(国会)の人権オンブズマンは17日の記者会見で、露軍が約8か月間、占領していたヘルソン州の状況は「これまで解放された州とは比較にならない規模だ」と述べた。ウクライナの内務相は16日、ヘルソン州で拷問された痕跡のある63人の遺体が見つかったと指摘した。露軍は教育機関や民家の地下室、商店などを拘束施設として使っていたという。
警察当局は18日、捜査対象にしている露軍の戦争犯罪は約4万4200件と発表しているが、今後、急増する可能性がある。
露国防省は18日、SNSに投稿された動画に基づき、東部ルハンスク州で、ウクライナ軍が投降した露軍兵士10人以上を射殺したと主張し、ウクライナのゼレンスキー政権を非難した。露外務省報道官も声明を発表し、国際的な調査を訴えた。ロシアに向けられる国際的な非難をかわす狙いとみられる。
露軍側による捕虜への拷問に関する証言が相次いでいるが、露国防省は「今週、投降したウクライナ軍兵士に関しては、戦争捕虜の取り扱いなどを規定したジュネーブ条約を順守している」と主張した。