【ロンドン=板東和正】フランス自動車大手ルノーは、26日に開かれた日仏首脳会談を、日産自動車との緊張関係を解き、経営統合へ道筋をつける「助け舟」にしたいと期待している。
日産の定時株主総会に登壇したルノーのジャンドミニク・スナール会長は25日、ルノーとの経営統合について「私が決める立場にあるわけではなく、日産の取締役の決議事項だ」と述べるなど、日産の立場を尊重する姿勢を強調した。
スナール氏の狙いは、経営統合をかたくなに拒む日産を懐柔することだ。白紙になった欧米大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)との経営統合案の再交渉を円滑に進めるため、日産の協力を求めたい考えもある。ただ、独立性を維持したい日産がルノーに募らせる不信感をスナール氏の友好的な振る舞いだけで払拭するのは容易ではない。
そうした状況の中、マクロン大統領と安倍晋三首相の首脳会議は「ルノーにとって助け舟になりうる」(自動車業界関係者)。仏大統領府は首脳会議に向けて「両社の提携関係を再確認する機会となる」と強調している。大和総研の菅野泰夫・ロンドンリサーチセンター長は「統合の思惑があるフランス政府が両社の関係性の改善を図る可能性がある」と指摘する。
欧米メディアによると、当時、日産の会長だったカルロス・ゴーン被告が昨年、統合を進めようとしていたが、経済産業省などが阻止するために両社の協議に介入していたという。マクロン氏による日本政府への働きかけで、ルノーは日産との関係強化を進めたい考えだ。