ジャーナリストの佐々木俊尚が12月7日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。北京で行われた江沢民元国家主席の追悼大会について解説した。
江沢民氏の追悼大会、習氏が天安門対応を称賛
中国の江沢民元国家主席の死去を伝える1日付の現地各紙=2022年12月1日 中国・北京 写真提供:産経新聞社
中国共産党や中国政府などは北京の人民大会堂で12月6日午前、11月30日に96歳で死去した江沢民元国家主席の追悼大会を開いた。習近平国家主席が弔辞を述べ、江沢民氏が1989年の天安門事件の際に上海市のトップとして「安定を守った」と称賛した。
飯田)葬儀委員会は習近平氏がトップで、党員や幹部、国民が集まって中継を視聴するよう指示したということです。
佐々木)なぜ、ここで天安門事件を称賛するのか。江沢民氏は北京のトップではなく、上海のトップですから、あまり関係ないと思うのですけれども。
飯田)国を率いた業績は別にあるというところですか?
江沢民氏の功績 ~経済の改革開放運動を守った
佐々木)江沢民氏の業績は、天安門事件にあるのではありません。当時はまだ国家主席ではないですからね。鄧小平氏の継承者として、経済の改革開放運動を守ったことが1つです。
飯田)経済の改革開放運動を守った。
佐々木)それまで共産党は共産主義だから、資本主義には反対でした。階級政党であり、資本家はなくさなくてはいけないという社会主義だったけれども、21世紀に入ってからは、アリババやテンセントなどのネット企業が成長していった。そこで資本主義のなかにある「資本経済の資本家階級も共産党の仲間なのだ」と言ったことが、大きな功績だと言われています。
飯田)「三つの代表」論。
集団指導体制を守った
佐々木)もう1つは、集団指導体制を曲がりなりにも守ったということです。鄧小平氏が引いた路線は2つあって、1つは毛沢東の文革や大躍進運動の反省から、絶対に独裁政権にはせず「集団指導体制を守れ」ということです。もう1つは、共産主義そのままの経済では絶対に成長できないので、改革開放を行って資本主義にしていくという方針です。
飯田)先富論と言われましたね。先に富めるものから富んでいって、あとから来る人たちを引き上げてやれという。