南海トラフ地震、韓国専門家が「現実化の可能性」指摘 – 漫画予知夢との関連も言及

韓国の地震研究権威、延世大学地球システム学科のホン・テギョン教授が、「いわゆる『南海トラフ地震』説は現実になる可能性がある」と発言し注目されている。これは、近年話題となっている漫画『私が見た未来』で描かれた予知夢と関連付けられ、日本国内および近隣諸国で不安を呼ぶ南海トラフ地震への懸念を一層高めている。

南海トラフ地震、韓国専門家が「現実化の可能性」指摘 - 漫画予知夢との関連も言及

『私が見た未来』の予知夢とその影響

南海トラフ地震説に関連し、特に注目される背景には、日本人漫画家たつき諒氏の作品がある。1999年出版の漫画『私が見た未来』の改訂版『私が見た未来 完全版』(2021年刊)では、2025年7月5日に見たとされる予知夢の内容が記されている。その記述によると、「突然、日本とフィリピンの中間あたりの海底がポコンと破裂(噴火)」した後、「太平洋周辺の国に大津波が押し寄せ、その津波の高さは東日本巨大地震の3倍はあろうかというほどの巨大な波」が発生するという。この記述が多くの人々の間で南海トラフ地震との関連性が囁かれ、懸念を増幅させている。

科学的観点から見た現実味

ホン教授は、この漫画の内容が単なるフィクションではない可能性に言及した。教授自身が約30年前に大学院で学んだ際には、南海トラフ(静岡県沖から九州東部沖に至る約700キロの海域)での「今後30年以内の大地震発生確率が50%」だったと述べた。それが現在では「今後30年以内に80%」に上昇しており、「80%の確率は必ず起こることだと考えていい」状況であると強調。科学的に見ても高い確率で発生が予見されている地震であり、そこに予知夢を記した本が出たことで、懸念が増幅されている現状を説明した。

想定される最悪シナリオと被害予測

ホン教授はまた、九州沖地震(マグニチュード(M)7後半〜8前半、100〜150年周期)や、東京沖の東海地域で地震が発生してからかなり時間が経過している現状にも触れつつ、「もし南海地域が先に破壊され、連鎖的に東京沖まで一気に崩れる最悪のシナリオ」になった場合、日本の政府および学界はM9.0に達する巨大地震になるとの見解を示していることを伝えた。M9.0の規模は、「M8.0の地震が32個分一度に発生する」ほどのものであり、日本政府の報告書によれば、南海トラフでM9.0の地震が発生した場合、経済被害は最大270兆円、死者約30万人、建物全壊約235万棟など、極めて甚大な被害が想定されている。

韓国への影響

さらに、ホン教授は、南海トラフでM9.0クラスの巨大地震が発生した場合、韓国国内でも30センチメートル以上の揺れが発生する可能性が高いと指摘。そのため、韓国政府も対策を検討している状況だと述べた。

これらの専門家の分析と具体的な被害想定は、南海トラフ地震が単なる懸念ではなく、科学的に高い確率で発生が予測されている現実的なリスクであることを示唆している。漫画の予知夢が引き金となり注目度が高まっているが、重要なのは、科学に基づいた備えの必要性である。