ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ南部ザポロジエ州メリトポリの露軍基地で10日、爆発が起きた。市外に退避中のフェドロフ市長は地元住民からの報告として「露軍200人以上が死傷した」と指摘。タス通信によると、ロシアが任命した同州のバリツキー「知事代理」は攻撃で12人が死傷したと主張した。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は10日、同日までに南部オデッサ州の電力インフラがロシア軍のドローン(無人機)攻撃を受け、150万人以上が電力供給を絶たれたと表明した。同州のマルチェンコ知事は11日、復旧作業の結果、電力供給がないまま取り残されているのは30万人まで改善したと明らかにした。ウクライナメディアが伝えた。
ウクライナ軍によると、露軍は9~10日の夜間にかけてイラン製の突入自爆型ドローン15機を発射。10機を撃墜したが、一部が電力インフラなどに命中した。
ロシアは、実効支配するウクライナ南部クリミア半島と露本土を結ぶクリミア橋で10月8日に起きた爆発を「ウクライナのテロ」だと主張し、報復名目で同国の電力インフラへの攻撃を激化。ウクライナ軍の反攻に直面する露軍は、電力不足を引き起こしてウクライナ軍の補給を妨害するとともに、同国民の戦意をくじく思惑だとみられている。クリミア橋は露軍の主要補給ルートの一つ。
戦時国際法のジュネーブ条約は民間人保護の観点から市民生活に直結する電力など重要民間インフラへの攻撃を禁止。米欧も「インフラ攻撃は国際法違反だ」とロシアを非難している。しかしプーチン露大統領は8日、「クリミア橋を最初に攻撃したのは誰なのだ」と主張。露国防省も「電力インフラはウクライナの軍事力に関係している」と攻撃を正当化している。