米国のトランプ前大統領=2021年6月5日、ロイター
米政治サイト「ポリティコ」は16日、2021年1月の連邦議会襲撃事件を調査する下院特別委員会がトランプ前大統領の刑事告発を検討していると報じた。19日の委員会で告発の可否を投票で決める方針だという。司法当局は既に20年の大統領選の結果を不法に覆そうとした疑いでトランプ氏を捜査しており、特別委が告発に踏み切ったとしても象徴的な意味合いが強い。
【近年の米大統領1期目の与党の中間選挙結果】
報道によると、特別委の小委員会は、トランプ氏に関して、反乱の扇動、公的手続きの妨害、米政府に対する詐欺の共謀などの容疑で刑事告発するよう提案した。トランプ氏の側近らも告発される可能性がある。
特別委の調査では、トランプ氏が20年の大統領選での敗北を覆すため、選挙承認手続きに権限を持つ州政府高官に圧力をかけたことや、襲撃事件当日に議会で行われていた選挙結果の公式集計手続きで勝敗を覆そうとしたことが明らかになった。事件前にはホワイトハウス近くで開かれた集会で、支持者に議会へ行進するよう呼びかけ、一部が暴徒化した。事件後、連邦下院で「反乱の扇動」で弾劾訴追され、21年2月に上院で弾劾裁判が開かれたが、共和党議員の大半は弾劾に賛同せず、無罪評決が出た。【ワシントン秋山信一】