米国とEUから保証を受けったセルビアが警戒体制を解除、事実上の外交的勝利

[ad_1]

米国・EUから保証を受けったセルビア共和国のブチッチ大統領は「警戒体制の解除」を発表したが、保証の中身は一方的な内容で主権を制限されたコソボ側にとって歓迎できる内容ではない。

対立の原因は何も解決していないためセルビア側による「コソボ統治体制の形骸化」は今回の成功を受けて勢いを増す恐れがある

これまでの経緯を説明するとセルビア共和国から分離・独立したコソボ共和国で暮らす約5万人のセルビア人はコソボ側の統治を拒否、コソボ当局がユーゴスラビア時代のナンバープレートを廃止する計画を発表すると「統治を認めていないコソボ側の強制=これに応じるとコソボ主権を間接的に認めたことなる」と反発して道路をバリケードで封鎖、セルビア人が多数派を占める地域ではセルビア系議員、裁判官、治安部門のトップが一斉に辞任。

米国とEUから保証を受けったセルビアが警戒体制を解除、事実上の外交的勝利

出典:Public Domain 今月12日に登場したバリケード

セルビア共和国も「コソボ地域に住むセルビア人の権利が侵害されている」と主張したため両国関係が極度に悪化してしまい、この事態をEUの仲介で何とか沈静化させたものの辞任した代表の再選出を行う選挙管理事務所が何者かに爆破され、セルビア人とコソボ当局は「アルバニア人による選挙妨害だ」「セルビア共和国が犯行を指揮している」と互いに非難しあい、再びセルビア人がバリケードで道路を封鎖したためコソボ当局が撤去を試み発砲事件(どちら側が発砲したのか不明)に発展。

この事件後もコソボ当局は「KFOR(NATO派遣の治安維持部隊)がバリケードを撤去しないなら自分たちの手で行う」と強行姿勢を崩さず、KFORもバリケード撤去に手を出すと事態が悪化するため容易に動けず、発砲事件を重く見たセルビア共和国が警戒体制(戦闘準備)を最高レベルに引き上げ国境沿い部隊を配備、このまま事態を静観すればコソボ側がバリケードの自力撤去に踏切るの確実で、住民との衝突に発展すればセルビア側が軍事介入を行う恐れがあった。

米国とEUから保証を受けったセルビアが警戒体制を解除、事実上の外交的勝利

出典:GoogleMap/管理人が加工(クリック拡大可能)

しかし米国・EUから保証を受けったブチッチ大統領は29日「警戒体制の解除」を発表したため最悪の事態だけは回避できた格好だが、保証の中身は「中央選挙管理委員会や治安当局に対する攻撃を組織したという理由で逮捕されたコソボに住むセルビア人元警察官の釈放」「コソボに住むセルビア人の逮捕リストを放棄=恐らく今回の抗議に関連した人々を起訴しないという意味」「NATOもコソボもセルビア人居留地に許可なく立ち入らない」というもので、主権を制限されたコソボ側にとって歓迎できる内容ではない。

一方のセルビア側は「これはセルビアの勝利でコソボ・メトヒヤ(独立を承認していないコソボ地域を指す名称)に住むセルビア人の勝利だ」と保証内容を歓迎しており、ブチッチ大統領はコソボ地域に住むセルビア人代表と連絡をとってバリケードの撤去を開始しているが、対立の原因は何も解決していないためセルビア側による「コソボ統治体制の形骸化」は今後も続くだろう。

主権を制限を押し付けられたコソボ側も政治的な巻き返しを図るのは目に見えており、再び些細な問題が世界中の懸念を呼び起こすのかもしれない。

増え続けるバリケード、コソボ側が手を出せばセルビア軍介入の可能性も
緊張が高まるバルカン半島、発砲事件を受けてセルビア側が戦闘準備
中国製防空システムの欧州進出が成功、セルビアがFK-3を調達

 

※アイキャッチ画像の出典:Милош Вучевић

[ad_2]

Source link