【主張】日中首脳会談 見せかけの友好は疑問だ

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 日中間に横たわる懸案を棚上げして、首脳が笑顔で握手する。見せかけの友好を演じてまで「次の高み」に上ろうとしていいのか。はなはだ疑問である。

 安倍晋三首相と習近平中国国家主席が大阪市内で会談し、習主席が来年春に国賓として再来日することで合意した。

 両首脳は、日中関係が「完全に正常な軌道に戻った」と改めて確認した。安倍首相は国賓として招く際に「日中関係を次の高みに引き上げたい」と表明し、習主席は賛意を示した。

 いくら「完全に正常な軌道」を強調されても、納得することは難しい。中国が引き起こしている問題が多すぎる。

 中国では、スパイ活動の疑いなどで日本人が拘束され、懲役15年などの重刑を言い渡されている。事実関係が明らかにされないままの判決や拘束は、重大な人権侵害だ。沖縄の島である尖閣諸島(石垣市)の周辺海域では、中国公船の侵入が続いている。

 日本人の釈放の実現や、中国公船の侵入がやむことなしに、実質を伴う関係改善はあり得ない。

 安倍首相は会談で、拘束された日本人の早期帰国実現を要請し、尖閣海域の中国公船の活動に自制を求めた。南シナ海の非軍事化を促し、香港やウイグルなど中国の人権状況への懸念も伝えた。

 中国による知的財産権侵害や技術移転の強要、不当な産業補助金の是正も要求した。

 言うべきことを一通り伝えたのは評価できるが、習主席がどのような反応をしたのか分からない。言い放しで馬耳東風を許していては日中関係の実態はなんら改善しない。どうして「次の高み」に進めると思うのか。

 最近の対中外交への疑問はまだある。米国を組み入れた方程式になっていない点である。

 安倍首相はトランプ米大統領との会談冒頭、「強固な日米同盟」を強調した。習主席と会えば、日中が「完全に正常な軌道」にあるとし、経済関係の深化をうたう。ところが米中は経済、安全保障など広範な分野で「新冷戦」とも言うべき深刻な対立局面にある。

 日本は、どちらにもいい顔をするような対米、対中姿勢を続けられない。米国の中国に対する危惧は妥当なものだ。同盟国として日本は米国の懸念と足並みをそろえることが国益にかなっている。

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