首里城再建、県は苦慮 台風被災の他県気遣う 火災1週間

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火災で全焼した首里城の正殿。奥の左右には焼け残った龍柱が見える。支援の輪が広がり民間からの寄付が相次ぐ=6日午後、那覇市(共同通信社機から)

火災で全焼した首里城の正殿。奥の左右には焼け残った龍柱が見える。支援の輪が広がり民間からの寄付が相次ぐ=6日午後、那覇市(共同通信社機から)

 那覇市の首里城が焼失してから7日で1週間。政府は火災直後から復元に向けて全力を挙げる姿勢を打ち出し、6日には関係閣僚会議を開いた。国が迅速な対応を見せる一方、地元の沖縄県では復元計画を策定する枠組みが定まらない。首里城は県民にとって象徴的な意味を持つ重要施設で再建への思いは強いが、火災の徹底した検証が先だという意見のほか、台風や豪雨の被災自治体への気遣いがあり、対応にはもどかしさがのぞく。

 政府が関係閣僚会議の開催に向けて調整に入ったのは、火災発生翌日の今月1日。関係閣僚会議の議長を務める菅義偉官房長官は6日の記者会見で「全体をとりまとめる事務局を作って対応していきたい。早急にやりたい」と強調した。

 沖縄県の玉城デニー知事も国への協力を求め、令和4年までに復元計画を策定するよう求めている。だが、復元計画を検討する県側の態勢は未定のまま。玉城氏は「国の動向とうまくリンクできるようにやっていきたい」と述べるにとどめている。

 今回焼失した正殿や北殿などは建設費約73億円を要している。首里城を管理する財団は最大約70億円の保険をかけているものの、資材費や人件費の高騰などで復元費はふくれ上がる可能性もある。

 政府は令和3年度まで沖縄関係予算3000億円台の確保を約束しているが、首里城復元費もこれに計上されれば他の予算を圧迫することになる。公明党の斉藤鉄夫幹事長が別枠での措置を求めている一方、菅氏や衛藤晟一沖縄北方担当相は明言を避けている。

 玉城氏は別枠での措置を求める考えで、日頃は玉城氏の県政運営を追及する自民党県連もこの点では歩調を合わせる。しかし、台風19号などの自然災害が相次ぐ状況で、国民の目に首里城復元費が災害復旧予算を圧迫していると映れば反発を受ける恐れもある。

 「早すぎる。火災の原因究明が先だ」

 5日には県議会委員会で一部議員が再建を求める意見書を採択するよう求めたが、与野党双方から反発を受けて先送りされた。自民党県連の島袋大幹事長は「台風19号で人災も出ているので、なかなか言いづらい面もある」と漏らす。玉城氏も6日に全国知事会長の飯泉嘉門・徳島県知事と会談した際、台風被害について、「さまざまな形での取り組みに協力していきたい」と言及するのを忘れなかった。

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