日本も他人事ではない。
中国で製造された車の部品から「とんでもないモノ」が発見された 英国で物議
1/16(月) 7:30配信 クーリエ・ジャポン
日々報じられるニュースの陰で暗躍している諜報機関──彼らの動きを知ることで、世界情勢を多角的に捉えることができるだろう。国際情勢とインテリジェンスに詳しい山田敏弘氏が旬のニュースを読み解く本連載。今回取り上げるのは、いまイギリスで物議を醸している中国スパイによる工作について。
中国スパイはどこにでもいる
欧米諸国の対中感情の悪化に伴って、ここ最近は中国スパイ関連のニュースもよく目にするようになった。
たとえば、中国は世界各地に「海外110」と呼ばれる「派出所」を設置していることも判明している。現地に暮らす中国人を監視・捜査し、必要に応じてスパイ活動にも協力させていることが報告された。
さらに2022年9月には、中国の情報機関である国家安全部(MSS)のスパイが、イーロン・マスクが買収した米ツイッターで給料をもらいながら働いていたことをFBI(米連邦捜査局)が突き止めた。同社に警告していたことが暴露されている。
また2022年12月には、スイスのいくつかの大学が同国の情報当局との関係強化を行い、中国との学術的な協力に警戒心を強めていると報じられたばかりだ。
このように、中国のスパイ活動は多岐にわたる。これまでの例を見ると、国家機密から企業の知的財産、学術研究などを狙ってくることがわかるだろう。
中国製の車の部品から出てきたものは…
そしてまた新たな疑惑がイギリスから噴出し、話題になっている。
英オンラインニュース「iNews」によれば、「外からは発見されないよう、中国の追跡デバイスが英政府の公用車に取り付けられていたことが判明した」という。
同記事は英政府のセキュリティ関係者から得た情報として、少なくとも1つのSIMカードが見つかり、そのデバイスが自動車の位置情報を送信していたと報じている。しかもそのデバイスは、車に組み込まれていた中国製の部品の中に忍び込ませてあった。
つまり、部品の製造段階で入れ込まれた可能性がある。そうなると、公用車の組み立て段階ではSIMカードの存在には気がつかない。部品メーカーが協力していたことも考えられるだろう。
中国政府はこの報道を噂に過ぎないと否定し、次のように述べている。
「中国政府は常に、海外で貿易や投資協力を行う中国企業に、相手国の法律や国際的な市場原理、国際的なルールに従うよう促している」
記事によれば、こうしたデバイスによって大臣などの居場所も常に把握することができる。そして英当局はここ数ヵ月にわたって、政府の自動車を徹底してチェックしているという。ちなみにイギリス政府は中国に加え、ウクライナに侵攻したロシアのスパイ工作にも警戒心を強めている。
そもそも中国のスパイ機関とは、どういうものなのか。
すでに触れたMSSとその関係機関だけでなく、中国共産党中央委員会の傘下にある情報機関「中央統一戦線工作部(UFWD)」や、中央軍事委員会の連合参謀部情報局などが活動している。さらにサイバー分野では、人民解放軍の戦略支援部隊(SSF)がハッキングなどで他国に対するスパイ工作をしている。
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学びがある! 146
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黒井この話のポイントは、自動車そのものは英国製だったり日本製だったりという場合でも当てはまること。自動車メーカーが小さな部品であっても中国に発注していた場合、そこで仕込まれてから日本にやってきて知らずのうちに組み込まれるリスクがあるわけだ。組み立ても中国でやるようなメーカーは車体丸ごとスパイウェアだ。
黒井コメント欄ではオーサーが「軍事衛星北斗を使えば位置情報がすぐ分かる」と不気味な話をしていた。元々は中国の腐敗役人を見つけ出すために搭載されたというが、それが「全世界に警察機構を設置している」理由の1つだとすれば、由々しき安全保障の問題に直結する。日本の政治家の弱みが握られることを心配する人もいた。