利害が一致した英国とサウジ、戦闘機分野における協力関係の強化を約束

[ad_1]

英国防省は「FCASプログラムに参加(研究開発・共同生産)する」というハリド・ビン・サルマン国防相の声明を否定、戦闘機分野の協力関係をどのように深めるか検討するため実現可能な提携内容の調査を開始すると発表した。

テンペストの開発や生産に英国とサウジの合弁企業が関与してくる可能性は十分あり得る話だ

英国との新たな軍事協定に署名したサウジアラビアのハリド・ビン・サルマン国防相は「将来戦闘機システムの共同生産と研究開発プロジェクトを含む包括的なパートナーシップにより、我が国の防衛能力を強化する『 Future Combat Air System program(FCASプログラム)』への参加に関する文書(意向表明書=SOI)にも署名した」と発表。

これを受けて海外メディアは「英国主導のFCASプログラム=テンペスト開発にサウジアラビアが参加(研究開発・共同生産)することになった。今回の合意はGCAPにサウジアラビアを結びつけるものではないようだ。英国が取り組む次世代戦闘機のアプローチは複雑でGCAPとテンペストは本質的に区別されている」と報じていたが、英国防省は発表したプレスリリースの中で「サウジアラビアはFCASプログラムに参加しない」と説明した。

英国防省の説明を要約するとベン・ウォレス国防相とハリド・ビン・サルマン国防相は昨年12月に合意した軍事協定に署名、これとは別に両国の戦闘機分野における関係を強化し、今後数十年に渡って共有する安全保障上の課題に対処する能力を高め、サウジアラビアが取り組む「Saudi Vision 2030」への協力を支援することなどが盛り込まれた意向表明書(SOI)にも署名したらしい。

両国は署名したSOIに基づき「戦闘機分野の協力関係をどのように深めるか検討するため実現可能な提携内容の調査(12ヶ月間)を開始し、Saudi Vision 2030の達成を含む両国の繁栄を促進するため「より緊密な産業協力」を推し進めることを確認した」と付け加えている。

産業構造の非石油を図るサウジアラビアは「Saudi Vision 2030」を掲げており、巨額のオイルマネーで装備を買い漁っていた方針にも大きな変化が生じ、今後は自立した装備品のエコシステム確立のため国防予算の大半を海外ではなく国内に投資(国防支出の50%)する方針で、サウジアラビアの装備需要に海外勢が食い込むためには「完成品を輸出する」というやり方を改め「技術や生産ノウハウを移転して現地で製造する」というやり方に切り替えなければ生き残れない。

利害が一致した英国とサウジ、戦闘機分野における協力関係の強化を約束

出典:Collins Aerospace IDEX2023で英国のCollins AerospaceとサウジアラビアのSRB Aerial Systemsが新型UCAVを共同生産を発表

米国のロッキード・マーティンやボーイング、ロシアのロステック、トルコのヴェステルなど多くの海外企業がサウジアラビア企業との合弁会社設立(生産拠点の確立)に動いているのは「Saudi Vision 2030」の環境下でも受注を獲得するためで、サウジアラビアの政策はインドのMake in Indiaに近く、もう安全保障分野の投資は極力現地の産業界に還元する方式でないと受け入れられない風潮が常識化してきた格好だ。

つまり「Saudi Vision 2030下でも自国の防衛産業がサウジアラビア需要に関与したい」という英国の思惑と、巨額の国防投資を取引材料に「英国から技術と生産ノウハウの移転を引き出し自立したエコシステムを確立したい」というサウジの思惑が合致したのが意向表明書(SOI)で、ハリド・ビン・サルマン国防相が「Future Combat Air System program」に言及したことはその期待感の現れであり、英国が何らかの形で「戦闘機分野の研究・生産にサウジ産業界を関与させたい」と考えているのは間違いないだろう。

利害が一致した英国とサウジ、戦闘機分野における協力関係の強化を約束

出典:英国防省 FCAS(テンペスト)のイメージ

今のところサウジアラビアがFCASプログラムの正式なメンバーになることはないものの、テンペストの開発や生産に英国とサウジの合弁企業が関与してくる可能性は十分あり得る話だ。

英国とサウジアラビアが新型UCAVを共同生産、2024年までに生産体制を確立
石油時代の終焉を見越したサウジアラビアの国防改革、2030年までに海外依存を是正
サウジアラビア、武装可能なトルコ製無人航空機「Karayel-SU」のライセンス生産を開始
サウジアラビア、防衛産業発展のためロッキード・マーティンとの合弁企業設立を発表
サウジアラビア、ロシアとの武器共同生産と防衛産業育成に200億ドル以上の投資を発表
サウジアラビア、英国主導のFCASプログラム=テンペスト開発に参加

 

※アイキャッチ画像の出典:Ministry of Defence

[ad_2]

Source link