(写真:朝鮮日報日本語版)
【新刊】三宅理一著、ウィ・ジョンフン訳『安藤忠雄 建築を生きる』(人間の家刊)
ボクサー出身で「建築は戦い」と語る安藤忠雄は、いつも闘争的なイメージに映る。だが、同じく建築家の著者は「日本の建築家の中で、妻がこれほど影響力を行使している人物はまれ」と語る。ひたすら前を見て走る安藤の傍らで、事務所の経営を切り盛りしている人物が妻だ。草創期に作品説明を自ら英訳して安藤の存在を海外に知らしめたのも、英文科出身の妻・由美子さんだったという。
【写真】記者懇談会を行う安藤忠雄氏
高校卒業後、独学で世界の頂点へと上り詰めたスーパースター建築家、安藤に関する本は既に多い。本書は、具体美術協会のアーティストから妻・由美子さんに至るまで、安藤が結んできた人間関係を中心に記述することで差別化を試みている。著者は「一介の建築家を超えて文化現象になった安藤を完全に語ることは不可能に近い」と言うが、建築家本人へのインタビューを含む取材は綿密で、人物像が立体的によみがえってくる。
韓国に建つ作品を別個紹介している韓国語版の付録がうれしい。済州島の維民美術館から最近作のソウル・LGアートセンターまで、「安藤建築紀行」ガイドブックとしても遜色ない。528ページ、2万5000ウォン(約2550円)
チェ・ミンギ記者