25年以上多くの読者に選ばれ続けてきた大学案内『大学図鑑!』の最新版が今年も発売された。現役生・OB・OGら5000人超のナマの声によってつくられる本書は、大学選びの有効な手段の一つとして広く利用されている。本記事では最新版の『大学図鑑!2026』と、約20年前の『大学図鑑!2017』をもとに、早慶上智ICUグループにおけるこの20年間の学部序列の変化を分析する。この期間で、大学全体の評価は大きく変わらないものの、学部間の位置付けには顕著な変化が見られる。
大学図鑑!に基づく早慶上理ICUの学部序列20年間の変化を示す図解イメージ
早慶上智ICUは20年前から私立大学のトップグループとしての地位を確立していた。現在ではここに東京理科大学も加わっているが、当時の東京理科大学も理系分野において私立トップクラスであったことに変わりはない。大学全体の評価や社会的認知度は数年で大きく変動するものではないが、20年の歳月を経ると、学部ごとの相対的な位置付け、すなわち学部序列には明らかな変化が起こっている。
代表的な変化として挙げられるのが、早稲田大学の所沢キャンパスにある人間科学部とスポーツ科学部だ。20年前の評価では、これらの学部は第二文学部などと同様に、ほぼMARCHと同レベルか、都心のキャンパスにある学部に比べて存在感が薄いと見なされていた。しかし、『大学図鑑!2026』では、人間科学部は教育学部よりも上に位置し、スポーツ科学部もMARCHを明確に超える位置にあると評価されている。これら所沢の2学部は、時間をかけて着実に社会的評価と入試難易度を高めてきた「理想の成長学部」と言える。
また、社会科学部も注目すべき学部だ。20年前は早稲田大学内での評価は相対的に低かったが、現在では非常に高い人気と難易度を誇る学部となっている。この変化も、早稲田大学の学部序列において非常に興味深い点である。
一方で、内部序列を下げたのが教育学部である。これは教育学部自体のレベルが低下したわけではない。私立大学の教育学部としては依然として最難関であることは揺るぎない事実だ。しかし、早慶を目指す受験生にとって「どうしても早稲田に入りたい場合に全員が受験する学部」「早慶の中でも比較的滑り止めになりやすい」といった傾向が強まった結果、早慶上智ICUグループ内での相対的な序列が変化したと考えられる。
さらに、早稲田大学の文学部に関しても大きな再編があった。かつて存在した「第一文学部」と夜間学部の「第二文学部」が統合・再編され、現在の「文学部」と「文化構想学部」となった。年配者の中には「文化構想学部=第二文学部」というイメージを持つ人もいるかもしれないが、両者は全く異なる学部である。特に文化構想学部は、メディアや現代文化などを学びたい学生にとって非常に人気が高く、難関学部の一つとして位置づけられている。
この20年間で、早慶上智ICUといった日本のトップ私立大学グループ内でも、社会や受験生のニーズ、学部の改革などによって、学部ごとの序列や評価は大きく変動していることが『大学図鑑!』のデータから明らかになった。これは大学選びにおいて、過去のイメージだけでなく、最新の情報を踏まえることの重要性を示唆している。
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