東京美容外科の統括院長・麻生泰医師
“メスを使わない”ことを謳った豊胸手術による健康被害が続出している。そうした中、一部SNSをザワつかせているのが『バーキン買うなら豊胸しろ』(ゴマブックス刊)という挑発的なタイトルの本だ。著者は東京美容外科の統括院長で、数々の芸能人も担当してきた豊胸のスペシャリスト・麻生泰氏。開院20年以来、医療事故ゼロを誇る麻生氏が、悩みに悩んで豊胸を決断した人に炎上を覚悟してでも警鐘を鳴らしたかったこととは。
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■注入式豊胸手術が流行するワケ「経験の浅い医師でも簡単にでき、クリニックも安いコストでバンバン開院できる」
──『バーキン買うなら豊胸しろ』というタイトル。これは以前、ネットで発言して大批判を浴びたコメントだったそうですね。
【麻生泰医師】ボロクソに言われましたね、「お前こそハゲ治せ」とか(笑)。ただこれくらい刺激的なメッセージでないと、届けるべき人には届かない。それくらい耳障りのいい広告や宣伝文句が美容医療業界には蔓延していますから。
──本書では主に注入式の豊胸手術のリスクについて多くの紙面を割かれています。
【麻生泰医師】5年ほど前からアクアフィリングと呼ばれる注入剤を使った豊胸が大流行して、手術から数年経った今、健康被害が深刻になっているんです。ところがいまだに「メスを使わない豊胸」としてやっている悪徳な美容クリニックがある。2019年に美容医療関連の4学会で「実施すべきではない」と共同声明を出し、厚生労働省でも注意喚起をしているのですが……。
──届いてほしい人には届いていない。
【麻生泰医師】そんな真面目な文書、誰も読まないですよね。むしろメスを使わない、切らないという文言に豊胸に踏み切る心理的ハードルを下げる作用があるんでしょうね。
──メスを使う豊胸手術というと?
【麻生泰医師】王道はシリコンバッグを入れる方法です。もちろんこれにもリスクはゼロではないので、熟練の医師にしかメスを握らせられません。アクアフィリングをはじめとする注入式の豊胸が流行ったのは、経験の浅い医師でも簡単にできるからなんです。さらに麻酔科医を常駐させなくてもいいので、クリニックも安いコストでバンバン開院できる。こうした負の連鎖で、アクアフィリング被害者が続出してしまったのです。