世界最大級の湖が劇的に縮小、気候変動と水の過剰利用が原因と研究者


世界最大級の湖が劇的に縮小、気候変動と水の過剰利用が原因と研究者

貯水量が低下したミード湖=2022年6月14日、米ネバダ州

【画像】干上がったアラル海

国際的な科学者チームがまとめた研究によると、世界人口のざっと4分の1は枯渇しつつある湖の周辺で暮らしている。研究論文は18日刊行のサイエンス誌に掲載された。

地球の表面を覆う湖の割合は全体のわずか3%に過ぎないが、地表に存在する真水の9割近くはこれらの湖に貯めこまれている。こうした湖水は飲料水や灌漑(かんがい)、発電の源として欠くことができない。また動植物にとって重要な生息地をもたらしてもいる。

それらの湖で現在、問題が起きている。

湖の水位は本来降雨や降雪といった気候条件によって変動するものだが、ここへ来て人為的な活動による影響に拍車がかかっている。

米国南西部にあるミード湖の水位は、大規模な干ばつと数十年に及ぶ過剰利用で劇的に低下した。アジアと欧州の間に位置し、陸地に囲まれた水域として最大のカスピ海も、長期にわたり縮小を続ける。気候変動と水利用が原因とされる。

米コロラド大学ボルダー校に設置された環境科学関連の機関に所属する研究者らは今回、衛星データを使い、世界有数の大きさを持つ湖と貯水池2000カ所近くを計測した。これらの合計で地球上にある湖の貯水量の95%を占めるという。

1992年から2020年までの衛星画像25万枚以上を検証したところ、全体の53%で著しい量の水が失われていることが分かった。1年あたりの喪失量は220億トン前後で、期間中失われた水量はミード湖17個分に匹敵するという。

自然湖から喪失した水量の半分以上は、人為的な活動と気候変動に原因を求めることが可能だと、研究論文は指摘する。

湖水の喪失は湿潤な熱帯地域から寒冷な北極地方まで、世界の至る所で起きていることも分かった。論文の筆頭著者で前出の機関の客員研究員を務めるファンファン・ヤオ氏によると、研究結果から「乾燥の傾向は世界規模であり、従来の想定よりも広範囲に及ぶ」ことが示唆されるという。

水量減少の原因は湖によってまちまちだ。

ウズベキスタンのアラル海や米カリフォルニア州のソルトン湖の縮小は持続不可能な水の消費が主因なのに対し、米ユタ州のグレートソルト湖の場合は降雨量や地表を流れる雨水の変化によるものだという。

北極地域の湖は気温、降雨、地表の雨水など複数の要因が組み合わさった結果縮小しているとされる。

貯水池について言えば、縮小の最大の原因は沈殿物の堆積(たいせき)だという。例えば米国第2の大きさを持つ人造湖のパウエル湖は、長い年月に及ぶ堆積の結果、貯水量が7%近く減少した。

ヤオ氏によれば、こうした堆積も気候変動の影響がもたらす現象と考えられる。世界的な温暖化を受けて頻発する山火事で森林が焼け、土壌が不安定化すれば、湖や貯水池に堆積物が流れ込みやすくなるという。



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