G7で核を持たない丸腰は、実質日本だけ。誠に遺憾ながら日本は核を持たざるを得ない(TNW)/G7首脳 原爆資料館で記帳

G7各国首脳が核廃絶に向け原爆資料館で記帳したそうです。大変おめでたいことなので、感想を少し述べてみます。

「核兵器を永久になくせる日に向けて共に進んでいこう」バイデン大統領らG7首脳 原爆資料館で記帳したメッセージ

政府は20日、G7広島サミットで各国首脳が広島市の原爆資料館を訪問した際、芳名録に記帳した内容を発表しました。

現職の大統領として、2016年のオバマ元大統領以来2人目となる訪問を果たしたアメリカのバイデン大統領は、「世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて、共に進んでいきましょう」と核廃絶への思いを綴りました。

【岸田総理大臣】
「歴史に残るG7サミットの機会に議長として各国首脳と共に「核兵器のない世界」をめざすためにここに集う

【フランス・マクロン大統領】
「感情と共感の念をもって広島で犠牲となった方々を追悼する責務に貢献し、平和のために行動することだけが、私たちに課せられた使命です」

【アメリカ・バイデン大統領】
「この資料館で語られる物語が、平和な未来を築くことへの私たち全員の義務を思い出させてくれますように。世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて、共に進んでいきましょう。信念を貫きましょう!」

【カナダ・トルドー首相】
「多数の犠牲になった命、被爆者の声にならない悲嘆、広島と長崎の人々の計り知れない苦悩に、カナダは厳粛なる弔慰と敬意を表します。貴方の体験は我々の心に永遠に刻まれることでしょう」

【ドイツ・ショルツ首相】
「この場所は、想像を絶する苦しみを思い起こさせる。私たちは今日ここでパートナーたちとともに、この上なく強い決意で平和と自由を守っていくとの約束を新たにする。核の戦争は決して再び繰り返されてはならない」

【イタリア・メローニ首相】
「本日、少し立ち止まり、祈りを捧げましょう。本日、闇が凌駕するものは何もないということを覚えておきましょう。本日、過去を思い起こして、希望に満ちた未来を共に描きましょう」

【イギリス・スナク首相】
「シェイクスピアは、『悲しみを言葉に出せ』と説いている。しかし、原爆の閃光に照らされ、言葉は通じない。広島と長崎の人々の恐怖と苦しみは、どんな言葉を用いても言い表すことができない。しかし、私たちが、心と魂を込めて言えることは、繰り返さないということだ」

日本以外の各国は実質核を保有している。核を持たない丸裸は日本とカナダだけ

アメリカ、イギリス、フランスは自国で核を保有しています。

ニュークリア・シェアリングまたは核共有とは、NATOの核抑止政策における概念で、NATOによる核兵器使用のために、自国の核兵器を持たない加盟国が計画的に関与することですが、イタリア、ドイツはアメリカとニュークリア・シェアリングを行っています。そういう日本は今もアメリカの核の傘の中にいます。日本は自分で核を撃つのは嫌だけれど、アメリカが撃ってくれるのはいいのでしょうか?

自前でも核を持たず、核シェアリングをしていないG7のメンバーは、カナダを除けば、日本が唯一の国です。カナダを侵略しようとする国はないでしょうからG7のメンバーで丸腰は日本だけです。何より日本は核を持った独裁国3つに囲まれており、カナダと状況が違います。

NATOの核保有3ヶ国(アメリカ、フランス、イギリス)のうち、ニュークリア・シェアリングのために兵器を提供したことが知られているのはアメリカのみ。2009年11月現在、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、トルコがNATOのニュークリア・シェアリング政策の一環としてアメリカの核兵器を受け入れている。(wikipedia)

オバマの核兵器削減は口だけ

2010年3月12日 オバマ米政権として初の本格的な予算要求となる2011会計年度(2010年10月~11年9月)の予算教書が米議会に提出され、核兵器関連コストの大幅増額を計画していることが明らかになった。「核兵器のない世界を目指す」と高らかにうたってきたオバマ大統領の政策とは矛盾する動きだ。中国新聞

2021年4月10日 オバマ政権が掲げた「核兵器なき世界」の理念に逆行しうる動きだった。理念を継承するバイデン政権がこの流れをどれほど変えるかが焦点だ。だが一方で、そもそも30年間で1兆ドル(約109兆円)以上を投じる計画を最初に承認したのは、オバマ政権自身だ(朝日新聞)

中国は、2030年までに核弾頭1000発保有を目標としている

2021.11.4 米国防総省報告書米国防総省は3日、中国の軍事動向に関する年次報告書を発表し、中国が約10年後の2030年までに少なくとも1000発の核弾頭を保有する意向を持っている公算が大きいと強調した。空中発射弾道ミサイル(ALBM)などからなる中国版「核の3本柱」を構築した可能性に言及。迎撃が困難とされる極超音速兵器の実戦配備への警戒感も示した。

昨年の同報告書は、中国の核弾頭数が10年間で400発台となると推定しており、この予測を大幅に上回った。報告書では、中国軍が創設100年を迎える27年までに、最大700発の核弾頭を保有可能になると指摘。「今後10年間、中国は核戦力の近代化、多様化、拡大を目指している」と強調した。(産経新聞

世界の核弾頭は1万3千発

核廃絶を叫ぶ人たちに何度か、今世界に核弾頭は何発あるのかと、聞いたことがあるのですが、一人として答えられた人はいません。

下記の表のように、現在1万3千発以上の核が世界に広がっています。広がっていますと言っても、持っている国は、わずか9か国ですが。

普通に考えれば、この核を廃絶することなど不可能だということはわかるのですが、夢想家である左派や一部の保守は廃絶できると信じている、または信じ込ませようとしています。

はっきり言って、核が廃絶できると本気で思う人は余程の狂人か、または余程の偽善者かのどちらかです。

G7で核を持たない丸腰は、実質日本だけ。誠に遺憾ながら日本は核を持たざるを得ない(TNW)/G7首脳 原爆資料館で記帳

(出典:長崎大学

岸田氏が潰した核保有議論

ロシアがウクライナに核の恫喝をし、降伏しなければ核を打ちこむことを示唆し、世界で批判を浴びました。その時、核保有国からの核の恫喝を目の当たりにした日本で、初めて核保有の議論をすべきとの議論が沸き起こり、あの茂木氏ですら核保有の議論をと述べたのですが、岸田氏は一瞬にしてこれを吹き消しました。

岸田氏はニューヨークにわざわざ出かけて行って、核廃絶を訴え「ヒロシマ・アクション・プラン」、国際社会が核兵器不使用の継続の重要性を共有すべきだと訴えたのです。(2022.8.2)

さすがに核が本当に廃絶できると思っているほど岸田氏はバカでも狂人でもないので、控えめに言って偽善者だと思います。

先の長崎大学出典の世界各国の核保有データのうち、2013年の核保有は、アメリカ7700、フランス300、イギリス225です。アメリカは別にして、英仏はほとんど核を削減していません。

もし本気で核を廃絶しようとするなら、なぜ英仏は核を削減しないのでしょうか?

ちなみに、アメリカは7700から5425発に減らしていますが、まったく問題ありません。アメリカは地球が丸ごと消滅できる核を保有し続けていますし、それ以上は絶対に減らさないからです。

他の6カ国の首脳は、日本の対応を腹の中ではせせら笑っているのではないでしょうか?

「なぜ日本は中国、ロシア、北朝鮮と核保有国に囲まれているのに核廃絶などという、たわけたお花畑に固執しているのかと」

この地球上で核を持って良い国があるとするならばそれは、核の被害に遭っている日本でしかあり得ませんし、日本は核攻撃から国民の生命、財産を守るために核を持たざるを得ないのです。

「文明は不可逆だ。一度持った核を人間が手放すはずがない」故西部邁氏