憲法改正議論に対する姿勢を参院選の争点とすることについては、有権者に選択を迫るという意味での争点として熟度が浅い。議論を全く否定している政党はなく、有権者に響きづらいのではないか。
公明党は現行憲法を高く評価している。施行から72年が経過する中で、憲法にふさわしい新しい価値観が確認できれば、それを加える「加憲」という立場をかねて取っている。
改正を認める勢力が(国会発議に必要な)3分の2かどうかというくくり方自体も、ぴんとこないものがある。少なくとも主要な野党が参加して合意が作られる形が望ましく、数の力だけで押し切るような進め方は良いことではない。
10月に消費税率が10%に引き上げられる。国民に負担をお願いする以上、国会議員が自ら身を切る姿勢を示すべきだということで、公約として歳費の10%削減を掲げた。衆参の幅広い合意を得て、実現することが大事だ。わが党だけのパフォーマンスとして主張しているわけではない。
「老後資産2千万円問題」に関しては、平成16年に年金制度の大きな改革を行い、年金は制度として安定している。このことと、人生100年時代というのは全く次元の違う話だ。
一部を捉えて現行の年金制度の不安をあおる議論や、「年金100年安心」というキャッチフレーズの100と、「人生100年時代」の100とを語呂合わせにして混同させるような議論は罪深い。
自公は連立政権を組んで今年で20年になるが、安全保障関連法などでは政権のブレーキ役として、幼児教育の無償化などではアクセル役として役割を果たしてきた。自公の協力がなければ、政界自体が混乱、不安定状態に陥りかねない。(大橋拓史)