ロシアのヴャチェスラフ･ヴォロージン下院議長は21日「ポーランドは第二次大戦の結果で手に入れた領土と、ソ連国民が復興と発展のために費やした7,500億ドル以上の資金を我々に返還すべきだ」と主張、この提案を22日の議会で「審議する」と明かした。

ポーランドは是非「ソ連が原因で被った損失額」を試算してロシアに請求すべきだろう

ロシアのヴャチェスラフ･ヴォロージン下院議長は21日「ポーランドは歴史の記憶を裏切った。ナチスからの解放はソ連の人々の多大な犠牲の上に成り立っていることを忘れている。現在のポーランド領の1/3はインフラや製造業が充実し天然資源も豊富な地域で、この地域をポーランドが手に入れたのは我々のおかげだ。ソ連国民はポーランドの復興と発展のため現在の価値で7,500億ドル以上も費やしており、現在のポーランドが国家として存続しているのは我が国のおかげだ」と主張。

さらに議長はポーランド人の悪意に満ちた野卑な振る舞い（ソ連兵士を解放者として称える記念碑の破壊、ロシア語学校の閉鎖、ロシアの資産を盗む行為）を指摘して「両国の共通した歴史を破棄し、兵士や将校の記憶を嘲笑するポーランドは第二次大戦の結果で手に入れた領土を返還し、戦時中及び戦後にソ連が費やした資金も我が国に償還すべきで、ポーランドがロシアから利益を得ることも禁止するのが正しい」と述べ、回復領と復興･発展に費やした資金の返還、ロシア領を通過するポーランドトラックの禁止を提案、22日の議会で「審議する」と明かした。

ポーランド政府は昨年9月「第2次大戦で被った損失額」を1兆3,200億ドル＝約184兆円と算出、下院は第二次大戦中にナチス･ドイツが引き起こした損害を賠償するよう求める決議を可決し、政府は本当にドイツへ賠償を行うよう請求（ドイツは拒否）したが、本決議には「ロシアにも賠償を要求するべきだ」という文言が盛り込まれていた。

出典：Kancelaria Prezesa Rady Ministrów

つまりポーランドはロシアに賠償を請求する前に「ロシアから回復領とに費やした資金を返還しろと要求されそうになっている」という意味で興味深い。

これは政治的なポーズである可能性が高いものの、仮にポーランドが東プロイセン領をロシアに返還した場合、ロシアは取り上げた旧ポーランド領の東部地域を返還するのか、そもそもナチスと結んだ秘密協定に従いソ連はポーランドに侵攻して分割占領を行っており、ポーランドが戦争で荒廃した原因の一部はソ連のあるのに「復興や発展に費やした資金を返せ」というのは流石だ。

ポーランドは是非「ソ連が原因で被った損失額」を試算してロシアに請求すべきだろう。

ポーランド議会、第二次大戦の賠償をドイツに求める決議を圧倒的多数で可決
ポーランドは第2次大戦の損失額を約184兆円と算出、ドイツに賠償を要求

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