ロシアの守備、衛星画像で明らかに ウクライナによる反撃を前に

[ad_1]

ロシアの守備、衛星画像で明らかに ウクライナによる反撃を前に

ロシアの守備、衛星画像で明らかに ウクライナによる反撃を前に

要塞が並ぶビーチリゾート、対戦車用の溝が掘られた幹線道路――。BBCヴェリファイ(検証チーム)による衛星写真の分析で、ウクライナの大規模な反撃に備えるロシアの守備の一端が明らかになった。

ウクライナでは数カ月にわたって膠着(こうちゃく)状態が続いている。西側から供与された兵器があれば大きな戦果を上げられると証明したいウクライナにとって、近く始まるとされる反撃は重要な試練になるとみられる。

BBCは今回、数百枚の衛星画像を分析。ロシアが昨年10月以降にウクライナ南部で大幅に増強している塹壕や要塞の重要地点をいくつか特定した。

以下の四つの地点からは、ロシアが反撃に関してどんな予測をしているのか、ウクライナ軍はどんな守備に遭遇する可能性があるのかがうかがえる。

■1. クリミア半島西海岸

2014年にロシアに併合されたクリミア半島は、かつてビーチリゾートとして知られた。

25キロメートルにわたる海岸線にはいま、折り畳み椅子やパラソルではなく、ロシア軍が設置した防衛施設が散らばっている。

下の画像は西海岸で唯一、崖や丘などの自然の防御物がない、開けた砂浜地帯の状況を示している。

まず、海岸沿いに「竜の歯」と呼ばれるピラミッド形のコンクリートブロックがあるのが分かる。戦車などの軍用車両の前進を阻むのが狙いだ。

その背後には塹壕が連なっており、迫りくる攻撃から身を守るのに使われる。塹壕沿いに、いくつかの格納施設も確認できる。

海岸に沿って、木材の山、掘削機、「竜の歯」の予備などがある。画像が撮影された3月には、建設作業がまだ行われていたことがうかがえる。

軍事専門家の一部はロシアのこうした守備について、海からの攻撃を想定したものではなく、どちらかというと念のための措置である可能性が高いと指摘する。ウクライナは海軍力が低いからだ。

情報アナリストのレイラ・ゲスト氏は、「ウクライナが陸ではなく大胆にも海からクリミアを攻撃してきた場合に、それを阻止するために要塞が置かれているとみられる」と話す。

この浜辺の要塞は、広い範囲に張り巡らされた塹壕の一例に過ぎない。オープンソースアナリストのブレイディ・アフリック氏の調査を基に作成した下の地図には、要塞を示す小さな丸印が無数に存在している。

BBCはソーシャルメディア上の動画から個々の塹壕の位置を特定することで、他の重要な要塞の場所を特定した。

正確な位置が分かったあとは、衛星画像を用いて塹壕の連なり全体を追うことができた。

■2. トクマク

トクマクは、ウクライナ南東部の主要道路が通る小さな街だ。ウクライナ軍にとっては、クリミアと他のロシア支配地域を分断させるうえで有用な場所だろう。

この街に関しては、軍事要塞にするためにウクライナ人住民らを追い出していると報じられている。そうすることで、ロシア兵は物資と退却基地を得ることができる。

上の衛星画像では、トクマクの北側に塹壕が2本の線状に掘られているのが分かる。ウクライナの攻撃が予想される方向だ。

これらの塹壕の背後では、街を囲むように要塞が配置されている。下の拡大した衛星画像では、守備が3層になっているのがはっきりと見て取れる。

画像の最上部には、対戦車用の溝が確認できる。深さは通常2.5メートル以上あり、敵の戦車を動けなくするために掘られている。

その後ろには「竜の歯」が数列並ぶ。さらにその背後にも、また塹壕が張り巡らされている。

ウクライナ軍は、これ以外のわなにも直面することになりそうだ。

米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のマーク・カンシアン氏は、トクマクの3層の防衛線の間には地雷が隠されている可能性が高いと言う。

「地雷原はすべての防衛で標準となっている。ロシアはこの戦争で、広い範囲で地雷を使っている」

「ここでは地雷原は広く、よりわかりにくくなっている。ウクライナの攻撃を遅らせ、砲兵や歩兵などが敵を攻撃できるようにしてある」

BBCはトクマク近郊の他の三つの町についても、同様に要塞化されていることを発見した。

■3. 幹線道路E105号線

トクマクの西では35キロメートルにわたって続く幹線道路E105号線に沿って、対戦車の溝と塹壕が延びている。

E105号線は、ロシアが掌握している南部メリトポリと、ウクライナが保持している北部ハリコフを結ぶ、戦略的に重要な道路だ。これを押さえた側は、一帯で部隊を容易に移動できる。

もしウクライナ軍がこの道路を使おうとすれば、ロシアは防衛線の後ろから重砲で狙ってくる可能性が高い。ロシアの砲撃拠点は、近くの別の道路(T401号線)も射程内に収めており、こちらも狙ってくる可能性がある。

「ロシアは、最近作られたウクライナの装甲部隊を気にかけている。もしそれらの部隊が幹線道路を走ることができれば、非常に迅速に移動できる」とCSISのカンシアン氏は言う。

「ロシアは、それらの部隊を道路から追い出し、動きを遅らせようと思っている」

■4. マリウポリの北のリヴノピリ

港湾都市マリウポリは、東部のロシア占領地域と南部のクリミアを結ぶ戦略的な位置にある。また、街が包囲され、頑強な兵士らが数カ月間持ちこたえた時には、侵攻に対する抵抗の象徴になった。

ロシアは、ウクライナがこの都市の奪還を試みるだろうと想定している。そこでBBCは、マリウポリの周辺地域を調査。その結果、円を描くように掘られた塹壕がいくつもあるのを発見した。

マリウポリの北55キロメートルにあるリヴノピリという小さな村の付近では、円形の塹壕の真ん中に土が盛られている。これは、迫撃砲を守るためか、銃を安定させるためのものとみられる。

一方、円形の塹壕は、兵士が身を隠すとともに、迫撃砲を移動させてどの方向に対しても狙いを定めるのを可能にしている。

このことからは、丘や川など自然の防御物がない開けた地域を、他の塹壕の連なりも使いながら、ロシアが守ろうとしていることが分かる。

しかし、一部のアナリストらは、ウクライナ軍が同様の衛星画像やドローンによる監視を活用することで、これらの守備隊の多くを特定し回避できると指摘している。

英セキュリティー・コンサルタント「シビリン」のアレクサンダー・ロード氏は、「ロシア側はウクライナ軍を、多数の地雷が設置され、ロシアの迫撃砲がすでに狙いをつけている特定のルートに誘導しようとするだろう」とする。

衛星画像からは守備の状況が一目瞭然だが、それもロシアの計画の一部なのかもしれない。

追加取材:トム・スペンサー

(英語記事 Satellites reveal Russian defences before major assault)

(c) BBC News

[ad_2]

Source link