随意契約による備蓄米の放出を巡り連日注目を集める小泉進次郎農林水産相(44)が投稿した一本の動画が、物議を醸している。昼食をとりながら関係者へ電話をかける自身の姿を捉えたこの動画に対し、「非常識」「やってるアピール」といった批判が噴出。しかしその一方で、最新の世論調査では「次の首相にふさわしい人物」としてトップに立つなど、評価は分かれている。
動画の内容とその波紋
小泉農相は6月13日、自身のX(旧Twitter)アカウントに、《今日はお昼を食べながら、備蓄米のスムーズな受渡しのため協力して下さっている国の受託企業の方々にお礼と引き続きのご協力のお願いの電話をしました。備蓄米を国民のもとに届けるため、多くの方々のサポートをいただいています。ありがとうございます!》というメッセージと共に動画を投稿した。動画には、茶碗やサラダが並んだ御膳を前に、熱心に電話をかける小泉農相の姿が映っている。壁の時計は12時台を示しており、まさに昼食時間中の出来事であることが伺える。電話は1件だけでなく数件にかけており、食べる間を惜しんで仕事に励んでいる様子を強調しているかのようだ。
備蓄米の担当者に昼食中「ながら電話」をする小泉進次郎農林水産相
「非常識」「やってるアピール」批判の理由
この「昼食を食べながら」の電話動画に対し、インターネット上では呆れる声や批判が続出した。マナー講師は、「かかってきた電話に対応するならまだしも、多くの会社が昼休憩をとっている時間帯に自ら電話をかけるのは、相手の迷惑になりかねないので避けるべきというのはビジネスマナーの常識」だと指摘。さらに、「進次郎農相も忙しいのかもしれませんが、昼食を食べている途中に自らお礼の電話をかけ始めているという状況もマナー的には決して好ましくありません。このあからさまな”やってる感”の演出に違和感を感じる人が多いのも無理はない」と語る。
Xでも同様の批判が相次いだ。《昼休みの時間帯に電話してるのは相手からしたら迷惑だろ笑 昼ごはんを食べてる時に電話がかかってくるならまだしも食べてる時に電話をかけてるのも常識はずれ》《飯食いながら仕事するなよ 昼時に電話掛けるのも非常識だし 渡し箸もしてる 何アピールなの? 少なくともこれを電話してる相手が見たら片手間でお礼の電話掛けてきたのかよってなるし相当失礼だよ これがパフォーマンスになると思ってるなら国民馬鹿にし過ぎだろ》《電話してる所をアピールするのって いちばん無能なサラリーマンだよな》《誰がこのような愚かなパフォーマンスを演出されたのか謎すぎますが これが今の日本の現実》といった手厳しい意見が投稿されている。
世論調査で次期首相候補トップに
このように「非常識なアピール」として波紋を呼んでいる小泉農相だが、産経新聞社とFNNが6月14、15両日に実施した合同世論調査では、「次の首相に誰が一番ふさわしいか」を尋ねた項目でトップに躍り出た。前回5月の調査で高市早苗氏が約4割を占め、小泉農相が5.1%で2位だった結果から大きく逆転し、今回の調査では小泉農相が20.7%で最も高く、高市早苗氏(64)が16.4%で2位、石破茂首相(68)が7.9%で3位となった。
評価の背景と政治記者の懸念
小泉農相が世論調査で支持を集めた背景には、備蓄米の放出に対する評価があると見られている。しかし、全国紙の政治部記者は冷静な見方を示す。「そもそも昨年からのコメの高騰や、日本が抱えるコメ問題は長年にわたる自民党政権の対応の結果です。随意契約を小泉農相に指示したのも石破首相なのですが、わかりやすいアピールを得意とする小泉農相に評価が集まり、”次期総理に”と求める声が高まることに一抹の不安を感じざるを得ません」と語る。
「やってるアピール」が先行しているとの批判がある一方で、次期首相候補として世論の支持を集める小泉農相。そのアピールに実体が伴うのか、今後の動向が注目される。