北野武に喝采 13年ぶり「世界のキタノ」人気健在 世界初披露「首」カンヌで5分間、拍手鳴りやまず


北野武に喝采 13年ぶり「世界のキタノ」人気健在 世界初披露「首」カンヌで5分間、拍手鳴りやまず

 「首」のカンヌ映画祭での上映で、レッドカーペットに登場した(左から)中村獅童、西島秀俊、北野武監督、北野夫人、加瀬亮、大森南朋、浅野忠信(C)若山和子

【写真】上映後、観客の拍手に応える中村獅童、西島秀俊、北野武監督、加瀬亮、浅野忠信(左から)

 「キタニスト」と呼ばれる熱狂的なファンを中心に、欧州で絶大な支持を受けている北野監督。コンペに出品された「アウトレイジ」以来、13年ぶりのカンヌでもその人気は健在だった。

 公式上映の1068席のチケットは発売即完売。99年「菊次郎の夏」のテーマ音楽が流れる中、西島秀俊(52)、加瀬亮(48)、中村獅童(50)らとレッドカーペットに登場するや、会場に入れなかったファンの歓声と視線を求める世界各国の取材陣の声が波を打つ。北野監督は照れながらも四方に笑顔で手を振り、出迎えた映画祭代表のティエリー・フレモー氏と熱いハグを交わした。

 30年来の構想を製作費15億円をかけて具現化した時代劇で、織田信長の跡目を狙う戦国武将、武士に成り上がろうとする農民、芸人らがさまざまな策略を巡らせる。合戦の激しい描写や男色シーンなど、北野監督独特の解釈による戦国絵巻を、上映後の観客は立ち上がって称賛。マイクを渡されると「次はもっといい映画で来ますんで」とおどけたが、会場は万雷の拍手に包まれた。

 「編集とかでずっと見ていたから寝ちゃうと思ったけれど、久々に大画面で見てまあまあって感じかな」と謙遜。さらに「意外に細かいところがウケたんで、次回作はお笑いをやらなきゃいけないな」と冗談めかしたが、海外からの注目度は抜群だ。

 6年ぶりの新作とあって、映画祭が始まった当初から各配給会社やバイヤーから問い合わせがあり、関係者によると、この日の上映を機にさらに増加。本格的な交渉はこれからになるが、日本人バイヤーの一人は「もともと北野監督作品は人気があるが、高い評価を得たことで各国で複数社がオファーをして争奪戦になる可能性もある」と指摘する。北野監督は「映画はお客さんあってのもの。フランスで温かく受け止めてくれたから、日本のお客さんにも喜んでくれれば幸い」と殊勝だが、「首」が世界へ羽ばたく期待は高まるばかりだ。

 〇…初のカンヌの西島は「今まで何度も上映に立ち会っているが、一番素晴らしい上映で感動した。お客さんが集中して面白いシーンは全部笑ってくれて、胸がいっぱい」と感激の面持ち。加瀬も「始まる前から北野監督を物凄い熱気で迎えてくれたのが素晴らしい。終わった後の拍手で、楽しんでいただけたと実感した」と声を弾ませた。



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