(写真:朝鮮日報日本語版) ▲今年1月、日本による強制占領期の徴用工問題に関連し、韓国政府の解決策に反対する「非常時局宣言」が韓国国会前で発表された。 /ニュース1
韓国外交部の幹部が先週、韓国政府の第三者弁済方式による解決策に反対し、賠償金の受け取りを拒否している徴用工被害者のヤン・クムドク、イ・チュンシクの両氏の自宅を訪れた。面会できなかったため、「認めてくださるならば、お会いして説明したい」という内容のメモと手土産を警備室に預けた。被害者を支援する市民団体はそれに怒った。「事前に面談を断ったのに無礼だ」というのだ。「日帝強制動員市民の会」のイ・グクオン理事長は「白昼に突然高齢の被害者宅を訪ねてドアをたたくのは暴挙ではないか。非常識な行為だ」と批判した。
【写真】裁判後の記者会見で涙を見せる強制徴用被害者(2018年)
当時「稚拙なまねはやめろ」と言ったイ理事長が最近、2億ウォン(約2100万円)余りの賠償金を受け取った徴用工被害者遺族に電話をかけたり、自宅を訪ねたりして、5000万ウォンを要求したことが分かった。11年前に被害者と結んだ合意に従い、賠償金の20%を要求したのだ。合意の存在を知らなかった遺族が反発すると、1ウォン単位まで金額が記載された内容証明郵便を送ったという。遺族は「政府の解決策に反対し、カネを受け取らないでほしいと主張していたではないか」と市民団体に抗議する場面もあったという。
イ理事長は外交部が被害者と面会しようとしたことについて、「重要な意思決定が必要な事柄に代理人、支援団体、家族が同席しなければならないのは常識だ」とも主張した。自分たちを無視するなという意味だ。しかし、遺族は11年前に市民団体が被害者と合意文書を取り交わす際にはなぜ家族に知らせなかったのかと問いただしている。ある遺族は「合意文書の原本を受け取り、青天の霹靂(へきれき)だった。90歳を超える高齢者を呼び、拇印(ぼいん)まで押させておいて、子どもたちは全く知らなかった」と話した。
この団体は裁判初期から関与し、被害者を支援した部分もあるだろう。だが自分たちが表現する通り、「稚拙で非常識な」やり方で被害者が望まない面会を迫り、「精算」を要求することをどうとらえるべきか。「歴史問題を利用したビジネス」という批判が出てくることには理由がある。この団体は世論が悪化すると「遺族が故人の遺志に従うかどうかは彼らが決めることだ」と立場を一歩後退させた。
金隠仲(キム・ウンジュン)記者