「重篤」説が浮上していたベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領をめぐる情報が錯綜(さくそう)している。ベラルーシの国営メディアが、ルカシェンコ氏について29日にロシア中央銀行のエリヴィラ・ナビウリナ総裁と面会したと報道した一方で、同国の野党指導者もSNSにルカシェンコ氏に関する情報を投稿。「欧州最後の独裁者」と呼ばれるルカシェンコ氏の健康状態は「謎」に包まれている。
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ベラルーシ国営のベルタ通信は、ルカシェンコ氏が29日に首都ミンスクで、ナビウリナ氏と通貨問題を協議したと報じた。ベラルーシ大統領府に近いメディアも同日、ナビウリナ氏と笑顔で会談するルカシェンコ氏の動画を通信アプリに投稿した。
ルカシェンコ氏をめぐっては、ベラルーシの野党指導者、ヴァレリー・ツェプカロ氏が27日、モスクワでロシアのウラジーミル・プーチン大統領と密室で会談後に救急搬送されたとSNSに投稿。「危機的と判断され、対応するため専門医が派遣された」と状況を伝えた。
そのツェプカロ氏は29日、SNSで、ルカシェンコ氏について「われわれの情報によれば、モスクワの病院で数日間過ごし、リハビリが行われた」と投稿した。ルカシェンコ氏の状態に関する最新の情報は27日だったとして、「いつ、どのようにミンスクに運ばれたのかは情報がない」と説明した。
ルカシェンコ氏は今年、たびたび体調の不調が指摘されてきた。今月9日にモスクワで行われたロシアの「戦勝記念日」の式典に右手に包帯が巻かれた状態で出席し、夕食会を欠席した。ベラルーシに帰国した後も主要行事を欠席しており、心臓に疾患があるのではとの憶測が出ていた。
プーチン氏にとっては数少ない盟友的存在のルカシェンコ氏だけに、その健康状態をめぐって今後も、さまざまな情報が流れる可能性がある。