バイデン米大統領が式典でつまずく 足元の砂袋に
アメリカのジョー・バイデン大統領が1日、コロラド州で行われた空軍士官学校の卒業式で、卒業証書を授与した後につまずいて転倒した。
バイデン氏は現在80歳で、アメリカ史上最高齢の大統領。転倒後、バイデン氏は周囲にいた職員に助けられて起き上がり、1人で席に戻った。
バイデン氏はこの卒業式で1時間半にわたって立ち続け、921人の卒業生に卒業証書を渡した。
ホワイハウスのベン・ラボルト大統領補佐官(広報担当)は、「大統領は大丈夫だ」と説明。
「大統領が握手をしている時、ステージ上に砂袋が置いてあった」と、ラボルト氏はツイッターに書いた。
ホワイトハウスに戻ったバイデン氏は記者団に、「サンドバッグにやられた」と笑いながら話した。
ホワイトハウス担当記者団の代表取材は当時現場から、バイデン氏はステージ上を歩いている時に、黒い砂袋につまずいたと報告していた。
転倒の瞬間をとらえた動画では、バイデン氏が空軍職員1人とシークレットサービス2人に助けられて立ち上がりながら、2つの砂袋のうちの1つを指さしている様子がうかがえる。この砂袋は、大統領用のプロンプターを支えるために置かれていた。
バイデン氏はそのまま席に戻り、直後に式典が終了した。自動車列に戻る時には軽く走っていた。
同行記者によると、バイデン氏は質問を受け付けずに帰路に着く飛行機に乗り込んだという。
ホワイトハウスのカリーン・ジャン=ピエール報道官は、バイデン氏は「まったく無事だ」と述べ、搭乗の際には「大きな笑顔」を見せたと話した。
一方で、バイデン氏については、大統領選で2選目を目指すには高齢すぎるとの批判も出ている。
最近の世論調査では、有権者もバイデン氏の年齢を心配している。2024年の大統領選に勝利した場合、バイデン氏は82歳で2期目をスタートすることになる。
今回の転倒だけでなく、自転車で転倒したり、大統領専用機のタラップでつまづいたことなども、こうした懸念を広げている。
野党・共和党で次期大統領選の有力候補となっているドナルド・トランプ前大統領(76)は、アイオワ州での選挙集会でこの出来事に言及し、「何もかも狂ってる」と語った。
バイデン氏の年齢をからかうことの多いトランプ氏は、「けがをしていないといいが。感動的な話じゃないな」と話した。
また、自身の大統領時代のエピソードを交えて「そうならないように、気をつけないと。たとえ、つま先立ちでそろそろとスロープを下りる羽目になっても」と続けた。
トランプ氏は2020年、ニューヨーク州ウェストポイントにある米陸軍士官学校の式典の後、スロープになっている通路をおそるおそる歩き、話題となった。トランプ氏はこの時、スロープが滑りやすかったと述べ、健康状態に関するメディアの質問をフェイクニュースとして一蹴した。
もう1人の共和党候補、ロン・デサンティス・フロリダ州知事も、ニューハンプシャーでの集会でバイデン氏の転倒に触れた。
「もしジョー・バイデンがけがをしたなら、速やかに回復してもらいたい。その一方で、ジョー・バイデンとその政策のせいで傷を負っているアメリカ合衆国も、速やかに回復することを願う」
バイデン大統領が最後に定期健康診断を受けたのは、今年2月。
大統領主治医のケヴィン・オコナー医師は当時、「大統領は引き続き職務遂行ができる健康状態で、何かを避けたり便宜を図ったりする必要もなく、すべての責務を完全に遂行できる」と発表していた。
オコナー医師は一方で、 バイデン氏は背骨の摩耗と足の神経損傷のため「こわばった歩き方」で歩いているが、その状態は2021年11月の前回の健康診断と変わっていないと述べた。
カメラの前で転んだことがある大統領は、バイデン氏だけではない。
バラク・オバマ氏は2012年に、階段を登ろうとしてつまずいた。1975年には、ジェラルド・フォード大統領が大統領専用機の階段から落ちている。
(英語記事 Biden trips and falls on stage at graduation event)
(c) BBC News