(写真:朝鮮日報日本語版)
韓国の進歩(革新)系最大野党「共に民主党」のイ・ヘチャン常任顧問が5月26日、民主党員向けの講演で「ウクライナは、韓国が面倒見ることは何もない国」だとし「なぜ韓国がウクライナ戦争に巻き込まれないといけないのか」と語った。彼はこの日、韓国がウクライナに砲弾を支援するという外信の報道を根拠に現政権を批判し「その砲弾がウクライナに入った瞬間、ロシアが報復するのではないか。怖いもの知らずに、こんなまねをしている」と述べた。
イ・ヘチャン顧問は民主党政権で、大統領職を除いてあらゆることをやってみた人物だ。そんな彼が、ロシアの報復は恐ろしく、ウクライナ参戦で得るものはない-というような発言をするのを聞いて耳を疑った。イ・ヘチャン顧問は「ウクライナは主に農業をよくやっていて、むしろ韓国の物を買っていくべき国」と語った。ロシアが力の論理を掲げて弱小国へ侵攻し、国際秩序を揺るがしていることについては「見ないふり」をする主張というふうに読める。
1950年に6・25戦争が起きると、22カ国の国連加盟国が北朝鮮の南侵を座視しなかった。これらの国々は、イ・ヘチャン氏の表現通りなら、「怖いもの知らずに」参戦した。石油の一滴も出ず、希土類もなく、国民1人当たりのGDP(国内総生産)は1953年の時点で67ドル(現在のレートで約9400円)という水準の韓国を守るために、代わりに血を流した。延べ約200万人が参戦し、およそ14万人の死傷者を出した。
今年は6・25停戦70年に当たる年だ。7月の「停戦協定70周年記念式典」は、22カ国の国連参戦国が参加する中で挙行される。記念式典を訪れるであろう6・25参戦勇士や参戦国首脳がイ・ヘチャン顧問の発言に接するかと思うと顔から火が出そうだ。彼らに「恐れも知らず韓国の赤化統一を防いでくれてありがとう」と言うべきか。彼らが「面倒見ることはない」国へ軍隊を送らなかったら、韓国は今、世界地図から消えていただろう。
ロシアのウクライナ侵攻は、国際秩序が「力が全て」という野蛮な秩序に戻っていくことを容認するのかという問いを世界に投げかけている。大国に囲まれる韓国の立場からすると、これは韓国の安全保障とも直結する問題だ。外相を務めた経験のある尹永寛(ユン・ヨングァン)ソウル大学名誉教授は最近、「(ウクライナ侵攻に関する)プーチンの論理に首肯したら、韓国を取り巻く諸大国が将来、韓国に武力侵攻することを合理化してやることになる」と語った。
ヤン・ジホ記者