ウクライナのゼレンスキー大統領(桐原正道撮影)
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領率いるウクライナのロシアへの反転攻勢をめぐり、衝撃的な報道が飛び出した。同国が養成したスパイがロシア国内で破壊工作を行い、5月に行われたロシア中枢部に対する無人機(ドローン)攻撃も工作員組織によって実行されたというのだ。各国から供与された最新鋭戦車が戦線に投入されたとの情報もある。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対する攻勢は、国内外で強まってきたようだ。
【写真】クレムリンの屋根付近で爆発するドローンとみられる物体。工作員が関与しているのか
注目のニュースは、米CNNが5日、米当局者の話として報じた。
記事によると、米当局者は、ウクライナが複数の工作員組織をロシア国内で展開し、ウクライナ製のドローンが組織のメンバーに供給されているとみている。
5月3日未明、モスクワ中心部のクレムリン(大統領府)に対し、ドローン2機が攻撃を行った。ロシア大統領府が「プーチン大統領の命を狙った計画的なテロ行為だ」と非難した襲撃について、米当局者は、ロシア国内にいる親ウクライナの工作員によって実施されたと見方を示しているという。
ロシアが侵略したウクライナでも、ウクライナ側の反攻が強まっている。
英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は8日、ウクライナの軍人や西側政府高官の話として、ドイツが供与した主力戦車レオパルトをウクライナ軍が実戦投入し、ロシア軍への反転攻勢を本格化させたと報じた。
ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は8日、ウクライナ軍が同日未明に南部ザポロジエ方面で部隊1500人と軍用車150両でロシア軍の防御を突破しようとしたが、撃退したと発表した。
しかし、ウクライナ軍は8日、ザポロジエとヘルソンの戦線でロシア軍が防戦に回っていると反論。東部ドネツク州の激戦地バフムト付近でも、同国軍が進軍していると主張した。
一方、南部ヘルソン州のカホフカ水力発電所のダム決壊は周辺地域の洪水に加え、同ダムから取水しているザポロジエ原発にも影響をもたらしている。ウクライナ水力発電企業は8日、原発の取水に必要な水位を下回ったと述べた。ダムからの水の流出は今後も7~8日間続くとの見通しで、併設された貯水池で当面の冷却水は確保できるものの、長期的な影響が懸念されているという。