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2027年開業が絶望視されるリニア中央新幹線をめぐり、推進派と慎重派のせめぎ合いが続いている。岸田文雄首相は年頭記者会見で2023年を「全線開業に向け、大きな一歩を踏み出す年にしたい」と宣言したものの、環境への影響を懸念する静岡県の川勝平太知事は、静岡工区の着工を認めず、国家的プロジェクトが宙に浮いた状態にあるのだ。東京(品川)と名古屋を約40分で結ぶ「夢の超特急」の早期開業は、このまま “夢” に終わるのか。経済アナリストの佐藤健太氏は「膠着(こうちゃく)状態が続くことになれば、政府・自民党は2025年に勝負をかけざるを得ないだろう」と指摘する。そのワケとは――。
川勝知事の “徹底抗戦”、いまだ具体的な開業見通し示せず
「静岡工区に着手できず、名古屋までの開業時期の見通しを立てることができない状態は残念でございます」。JR東海の金子慎社長(当時)が記者会見で無念の表情を浮かべたのは今年1月。新社長に就いた丹羽俊介氏は4月の就任会見で「リニア中央新幹線は言うまでもなく、我が国にとって重要なプロジェクト。できるだけ早く開業したい」と力を込めた。だが、川勝平太知事の “徹底抗戦” を突破できず、いまだ具体的な開業見通しを示せない日々が続いている。
リニア中央新幹線は、超電導磁石の力で約10センチ浮上して走行し、最高時速約500キロで東京と大阪を結ぶ計画だ。東京―名古屋を最速40分、東京―大阪を最速67分で走行し、首都圏と中京圏、近畿圏の3大経済圏を一体化する役割も期待されている。
JR東海は、国土交通相による工事実施計画の認可を受けた品川―名古屋間を2027年に開業後、名古屋―大阪間を建設する予定としている。だが、南アルプス静岡工区で大井川の水資源や生態系への影響を懸念する静岡県は、着工を認めず、実質的に工事が進展していない膠着状態が続く。
山梨県の長崎知事「科学的な議論に基づいてくれ」
JR東海はリニアのトンネル工事に先立ち、今年2月から山梨県内でボーリング調査を進めている。だが、これにも静岡県側は、地下水が山梨県側に流れ込む恐れがあるとして、県境から300メートル以内は採掘を中止するよう文書でJR東海に要請。さすがに山梨県の長崎幸太郎知事は「静岡県の議論には大変強い違和感がある」「科学的な議論に基づきJR東海と話を進めることが適切だ」などと不快感を示した。
国や隣接自治体、JR東海と川勝知事の間に生じた亀裂は決して浅くはない。川勝知事は5月24日に長崎知事に「説明もなく、文書を出し失礼した」と謝罪したものの、JR東海への中止要請は撤回しない考えを表明している。5月31日に開催されたリニアの早期建設を目指す期成同盟会では、沿線10都府県の知事などから「静岡工区問題」に苛(いら)立つ声が相次いだ。
長野県の阿部守一知事は「静岡工区の問題は、開業時期に直結する極めて重要な問題であり、静岡県の問題であると同時に、沿線地域すべての共有の問題だ」と指摘。三重県の一見勝之知事は「名古屋以西の工事が、名古屋以東の工事が遅れることで遅れるということは避けて欲しい」と要望した。そして、山梨県の長崎知事は「早期に水問題解決に向けた関係者間の協議が整い、速やかに工事が着工されることを山梨県として強く、強く期待する」と述べている。
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