映画『658km、陽子の旅』の演技で「第25回上海国際映画祭」最優秀女優賞を受賞した菊地凛子
俳優の菊地凛子が、今月9日から中国で開催された「第25回上海国際映画祭」で最優秀女優賞を受賞した。コンペティション部門に正式出品された熊切和嘉監督の映画『658km、陽子の旅』での演技が評価された。現地時間17日に行われた授賞式のステージでは、「主人(俳優の染谷将太)とは『獲りました』『おめでとう』とメールで会話しました。主人にも感謝したいと思います」と、夫婦で喜びを分かち合ったことを明かしていた。
【画像】歓喜に沸いた「第25回上海国際映画祭」授賞式の模様
菊地は、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『バベル』(2006年)に出演し、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされたが獲得はならず、今回が国際的映画祭での初受賞となった。なお、『バベル』にはブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ガエル・ガルシア・ベルナル、そして、先月、カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した役所広司も出演している。
菊地は、「まさか、初めて上海国際映画祭というこのすてきな映画祭に呼んでいただき、このようなすてきな賞をいただいて本当にうれしいです。20年前に自分を拾ってくれた熊切監督の作品で、こうして賞をいただけて大変うれしく思います」と、上海国際映画祭、監督への感謝を伝えた。
熊切監督が自身の劇場デビュー作となる『空の穴』(2001年)のヒロインに起用したのが、当時新人の菊地だった。その後、菊地は『バベル』をはじめ、『パシフィック・リム』シリーズ等、数々のハリウッドやヨーロッパ作品で主要な役を演じてきた。
中国でも菊地の知名度は高く、また、夫の染谷は中国のチェン・カイコー監督の映画『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』(17年、日中合作)で主演を務めたことがあることから、授賞式では「会場にいるすてきな中国の俳優や監督と一緒に中国で映画を作りたいと思いますか?」と聞かれる場面も。
これに菊地は「ぜひ。自分は子どもの頃から中国の映画を見て育ってきましたし、本当に出演して みたいんですけど、中国語のあいさつすら難しくて。今から勉強します」と返していた。
22年ぶりに熊切監督とタッグを組んだ『658km、陽子の旅』は、菊地の最優秀女優賞のほかに、最優秀作品賞、最優秀脚本賞の3冠を獲得。菊地は「3つも賞をいただけるとは思ってもおらず、本当にありがとうございます。20年前に熊切監督に拾っていただいたことも、こうしてまた新しい作品で監督に感謝できる環境にこられたことは、何よりも自分の宝物です」と、感慨もひとしおの様子。
「国際映画祭に参加することで、国境関係なく、1本の映画で心を揺さぶられるということが自分の身に起こるんだということは幸せだなと思います。またいただいた役を真摯(しんし)に一つずつやっていこうと、心に誓いました」と、意欲を示していた。