20日、ウクライナ東部ドネツク州で自走砲の発射準備をするウクライナ兵=AP
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は英BBCが21日に放映したインタビューで、ロシア軍に対する大規模な反転攻勢について「我々が望んでいたよりも遅い」と述べ、地雷原などで防御を固める露軍相手に苦戦していることを認めた。「ハリウッド映画とは違う」とも語り、性急に戦果を求めないよう国際社会に呼びかけた。
【動画】ウクライナ軍「集落奪還」…東部ドネツク州で反攻後の戦果拡大
(写真:読売新聞)
オレクシー・ダニロフ国家安全保障国防会議書記は20日、反攻は「今後2~3か月が決定的に重要になる」との認識を地元テレビで明らかにした。自国の犠牲を最小限にするため、露軍の「砲撃能力の消耗」を重視していると説明した。ウクライナの国防次官は20日、SNSで「主要な打撃はこれからだ」と強調した。
米CNNは20日、ウクライナ軍が反攻用に準備した戦力の「4分の1程度しか投入していない」との見方を伝えた。ウクライナ軍は、正規軍12旅団と内務省主導の志願兵部隊8旅団を新たに編成していた。
ウクライナ軍は、露軍の航空戦力や火力の破壊を続けている。19日夜にはドネツク州で露軍の攻撃ヘリコプター「Ka52」を撃墜したと発表した。
セルゲイ・ショイグ露国防相は20日の国防省幹部との会合で、ウクライナ軍が南部クリミアや露本土を長射程兵器で攻撃すれば「ウクライナの中枢を報復攻撃する」と警告した。
プーチン露大統領は21日、士官学校の卒業生を前に「核の3本柱の強化がロシアの安全保障と世界を安定させる最重要課題だ」と演説し、「核の威嚇」を強める姿勢をにじませた。核の3本柱は大陸間弾道ミサイル(ICBM)と潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機を指す。プーチン氏は、多弾頭型大型ICBM「サルマート」(別名サタン2)を近い将来配備すると改めて表明した。