26日、ウクライナ東部ドネツクで地図を見ながら指揮官から報告を受けるゼレンスキー大統領(右)=ロイター
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は26日、東部ドネツク州と南部ザポリージャ州を訪れ、ロシア軍に対する大規模な反転攻勢の前線付近を視察した。「全ての戦線で前進している」と帰路の列車上でのビデオ演説で述べた。
【写真】ウクライナ東部要衝バフムト付近の森で銃撃戦
ゼレンスキー氏は、地上部隊が奪還の目的地とするメリトポリや露軍の補給拠点のベルジャンシク、多数の犠牲者が出ている要衝バフムトなどで進軍に従事する部隊を激励した。
ウクライナ軍は26日、ドネツク、ザポリージャ州境のリウノピリの集落を奪還したと発表した。ウクライナ側は、露本土と南部クリミアを結ぶ「陸の回廊」の遮断を狙っており、リブノピリはアゾフ海に面した港湾都市マリウポリやベルジャンシクを目指す「南ドネツク戦線」の進路にある。
ザポリージャ州の露側幹部は26日、「南ドネツク戦線」でウクライナ軍の突破を許す可能性があるとSNSに投稿した。
ウクライナ軍は南部ヘルソン州でも攻勢を強めている。米政策研究機関「戦争研究所」は26日、露軍が占拠するドニプロ川東岸に、ウクライナ軍が渡河作戦を始めたと分析した。昨年11月に爆破されたアントノフスキー大橋付近で、ウクライナ軍が塹壕(ざんごう)を築き、露軍が押し戻せずにいるという。ウクライナ軍が東岸に橋頭堡(きょうとうほ)を確保しようとしているとの見方も示した。カホフカ水力発電所ダムの決壊で水位が下がり、川を渡りやすくなったとみられる。SNSでは浮橋設置や露軍退避の情報も流れている。