ロシアが併合したウクライナ南部クリミアで、ロシア兵の防弾ベストを製造する縫製工場の従業員=2023年6月14日、ロイター
ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島とロシアを結ぶ「クリミア大橋」で昨年10月に起きた爆発について、ウクライナのマリャル国防次官は8日、通信アプリ「テレグラム」で「ロシアの補給を混乱させるためにクリミアの橋に対して最初の攻撃を行った」と投稿し、ウクライナが関与したことを認めた。今年5月には情報機関であるウクライナ保安局(SBU)のマリューク長官が爆発について「適切な措置が取られた」と語り、関与を認めたと報じられていた。マリャル氏の投稿は、ウクライナが攻撃したことを改めて直接的に認めた形だ。
【渡部陽一さんが撮ったウクライナの現実】
クリミア大橋では昨年10月8日、走行中のトラックが爆発。並行して走る貨物列車の燃料タンクに引火して炎上したほか、車道の一部も崩落した。ロシアはその直後、「報復」としてウクライナの約20都市を標的に大規模な空爆を行った。
マリャル氏はテレグラムで、ロシア軍の侵攻が始まって500日が経過したことを振り返り、ロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」撃沈などの「戦果」を投稿。その中でクリミア大橋の攻撃にも言及した。また、「いまこの瞬間、東部と南部で占領地を解放するため、我々の兵士が激しい戦闘を行っている」「まもなく(米国製戦闘機)F16のパイロットの訓練が始まる」とも書き込んだ。
一方、AP通信によると、クリミア半島の親露派は9日、巡航ミサイルを迎撃したと明らかにした。死傷者はおらず、大きな被害は出なかったが、クリミア大橋は一時、通行止めになったという。【カイロ金子淳】