【ウィンブルドン2023】 ベラルーシ選手に試合後ブーイング 握手拒んだウクライナ選手ではなく
ジョナサン・ジュレイコ、BBCスポーツ(英ウィンブルドン)
テニスの4大大会の一つのウィンブルドン選手権が、ロンドン郊外のオール・イングランド・クラブで開かれている。9日の女子4回戦では、ベラルーシのヴィクトリア・アザレンカ選手(33)が、ウクライナのエリナ・スヴィトリナ選手(28)と対戦。接戦の末に敗れたアザレンカ選手は試合後、観客らからブーイングを浴びた。同選手は「フェアではなかった」と話した。
ウクライナで戦争が始まって以来、スヴィトリナ選手は、ロシアやその同盟国ベラルーシの選手と試合後の握手を拒んでいる。
これまで何度もそうした対応を繰り返しており、この日も試合の決着がついたあと、ネットに近寄ってアザレンカ選手と健闘をたたえ合うことはしなかった。
だが、1番コートを去るとき、ブーイングを浴びたのはアザレンカ選手のほうだった。
「私はどうすればよかったのか? じっと待つべきだったのか?」。アザレンカ選手は試合後、記者らに尋ねた。
「彼女はロシアやベラルーシの人とは握手したがらない。その決心を尊重した」
■手を振られたが無反応
ワイルドカード(主催者推薦)で出場しているスヴィトリナ選手はこの日、観客の大声援を受けながらプレー。素晴らしい試合を2-6、6-4、7-6 (11-9)で勝利し、準々決勝に進んだ。
最初のマッチポイントでスヴィトリナ選手がエースを決めて勝負がついたあと、アザレンカ選手は敬意を表してスヴィトリナ選手に手を振ったが、同選手はそれに反応を示さなかった。
コートを去る際にブーイングを浴びたアザレンカ選手は、どうしてなのかと尋ねるかのように一瞬、立ち止まった。そして、観客にジェスチャーをして姿を消した。
イギリスの観客らがアザレンカ選手に敵対的な態度を示したことについて、驚いたかと問われたスヴィトリナ選手は、「何とも答えられない」と話した。
先月の全仏オープンでは、スヴィトリナ選手は準々決勝でベラルーシのアリナ・サバレンカ選手に敗れた。試合後、スヴィトリナ選手は握手を交わさずにコートを後にし、観客席からブーイングが沸き起こった。
■テニス組織に声明を求める
スヴィトリナ選手は、「負けた選手は誰でも、握手がなければ、ブーイングを浴びるということだと思う」と話した。同選手は昨年10月に娘スカイちゃんを出産し、3カ月前に復帰したばかり。
「テニス団体は、ロシアおよびベラルーシの選手とウクライナ選手の間では握手はないと、声明を出すべきだと思う」
「そうしたことが人々には明快ではないのかもしれない」
「ロシア軍がウクライナから撤退し、私たちが領土を取り戻すまで私は握手をするつもりはないと、これまで何度も言ってきた」
「私は明快な声明を出している。これ以上ないというほど明快だ」
■「私たちは仕事をしている」
アザレンカ選手に対する観客の反応は、手に汗握る試合を異例なかたちで終わらせた。元世界ランキング1位の同選手は、観客にはプレーの質に注目してほしいと望んだ。
「素晴らしい試合だったと思う。観客が、それもかなり酔っぱらった観客が、握手だけに注目してブーイングを送るのであれば、残念なことだ」
「あれはテニスの試合だった。誰もここで人生を変えようとはしていない。私たちはテニスをしている。私たちは自分たちの仕事をしている。それだけのことだ」
(英語記事 Azarenka booed off after Wimbledon loss to Svitolina)
(c) BBC News