プーチン大統領
ロシアのプーチン大統領が武装反乱を起こしたロシア民間軍事会社「ワグネル」の創設者エフゲニー・プリゴジン氏の「標的」だったワレリー・ゲラシモフ総参謀長(合同参謀本部議長格)を更迭したという報道があった。
ロシア独立メディアのモスクワタイムズは9日(現地時間)、ロシア軍事チャンネルを引用し、ゲラシモフ総参謀長が公式的にはロシア軍を引き続き率いるが、ウクライナ戦争の総司令官から解任され、戦争に対する発言権がなくなったと伝えた。これを受け、ゲラシモフ総参謀長は1月にウクライナ戦争の総司令官を引き受けてから6カ月で退くことになった。
モスクワタイムズはゲラシモフ総参謀長の代わりにミハイル・テプリンスキー大将が事実上、ウクライナ軍事作戦の責任を負っていると報じた。テプリンスキー氏は昨年6月にロシア空軍総司令官に就任し、4月からウクライナ戦争で副司令官の任務を遂行している。テプリンスキー氏は昨年3月にロシアがウクライナに侵攻して以降、5番目に総司令官職を引き受けることになった。
ゲラシモフ総参謀長は先月23、24日にプリゴジン氏が武装反乱を起こして以降、公開的な席に姿を現していない。セルゲイ・ショイグ国防相が反乱の2日後からロシア軍部隊を訪問し、反乱に関する発言をする姿などが公開されたのとは対照的だ。
プリゴジン氏はウクライナ戦争の功績をめぐりショイグ国防相、ゲラシモフ総参謀長と対立し、2人を拉致しようとしたが、ロシア連邦保安庁(FSB)に発覚すると、武装反乱を起こしたという。
モスクワタイムズはプーチン大統領がプリゴジン氏の反乱を口実にロシア軍高位指揮官を大々的に粛清していて、その責任からロシア軍最高指揮官のゲラシモフ総参謀長も主要な役割から排除されたとみられると伝えた。
先月末、ロシアメディアはロシア軍・情報当局の高官らがワグネルの秘密VIP会員名簿にあったという事実を報道した。これに関連し、一部のロシア軍高位層がプリゴジン氏の武装反乱を知りながらも傍観したという疑惑が提起され、粛清の対象になるという見方が出ていた。
一方、ロシアは11、12日に東欧リトアニアのヴィリニュスで開催される北大西洋条約機構(NATO)首脳会談を控えて、ウクライナと西側に強く反発している。「プーチンの口」と呼ばれるメドベージェフ国家安全保障会議副議長はウクライナと東欧にある核施設を攻撃することも可能だと警告した。
メドベージェフ副議長は9日、テレグラムに「我々の原発に対するNATOのミサイル攻撃の動きが確認されれば、ロシアはウクライナの南部・西部などにある原発と東欧の原子力施設に対する同時攻撃シナリオを考慮しなければならない」と主張した。
これはウクライナが英国からこの日供与されたストームシャドーミサイルでモスクワから西側に約300キロ離れたデスノゴルスク原発を攻撃しようとしたというロシア宣伝チャンネルの報道と関連した脅迫性の発言と解釈される。メドベージェフ副議長はウクライナ戦争に関連して強硬発言を続けている人物だ。