【参院選】救済制度の特定枠、有権者に分かりづらく


 合区対象となった県で擁立できなかった候補者を救済するため、今回の参院選から自民党主導で始まったのが比例代表の「特定枠」だ。特定枠に指定された候補者は所属政党の中で優先的に当選できるが、選挙活動は制限されているため、有権者にはわかりづらい。候補者からも「名前を売れない」と不満がもれる。

 総務省によると、参院選の比例代表は候補者名か政党名で投票でき、候補者名の得票数が多い順に当選する。特定枠はそうした得票数にかかわらず、政党が事前に定めた順位に従って当選者を決められる。いうなれば、比例の議席数が多い自民党では「100%の確率で当選できる」(党幹部)という特別な立場だ。

 ただ、特定枠の候補者は個人名の得票数で当選順位が決まるわけではないため、個人の選挙運動は認められていない。たすきをかけることや、選挙カーの利用、演説も禁じられている。

 このため、特定枠で立候補するある陣営は、ひたすら地元の鳥取・島根選挙区から出馬する同じ政党の候補者の支援を呼びかけ、“黒子”役に徹している。陣営関係者は「仮に今回当選したとしても、6年後に特定枠が適用されなくなったら不利。政治家が自分の名前や政策を売り込めないのはおかしい」と話している。



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