【主張】拉致と参院選 解決への熱がみられない

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 低迷ぶりが嘆かれる参院選の論戦の中でも、全く存在感がないのが、拉致問題解決への言及である。北朝鮮をめぐる環境は目まぐるしく動いている。この機に被害者全員帰国の実現を家族は切望している。

 これに応えようという真摯(しんし)な姿勢が、論戦からはまるでみえない。

 各党の公約に「拉致」の文言はある。「北朝鮮に核・ミサイル開発の完全な放棄を迫り、あらゆる手段に全力を尽くして拉致被害者全員の即時一括帰国を目指す」(自民)。「日朝平壌宣言に基づき、核、ミサイル、拉致問題を解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化の実現を目指す」(公明)。「北朝鮮の核・ミサイル開発と拉致問題の解決に向けた交渉に着手する」(立憲民主)。「北朝鮮の核・ミサイル・拉致問題の解決を目指す」(国民民主)。「北朝鮮の核・弾道ミサイル、拉致問題の解決に向け、日米韓中の連携をさらに強化」(日本維新)。「日朝平壌宣言に基づき、拉致問題の解決と国交正常化について粘り強く交渉する」(社民)

 共産党は野党共闘の共通政策で「東アジアにおける平和と非核化の推進、拉致問題の解決」とうたうのみで、独自の公約では「北朝鮮問題を『6カ国協議』で解決し、この枠組みを地域の平和と安定の枠組みに発展させる」としている。いずれにせよ各党の公約からは、拉致問題への「熱」が感じられない。特に野党各党の書きっぷりは、ことさらおざなりな印象である。

 街頭演説でも拉致問題解決に向けた具体策や、被害者救出のための法整備のあり方について語る言葉は聞こえてこない。

 安倍晋三首相は拉致問題の解決に向けて、前提条件なしに金正恩朝鮮労働党委員長との会談を目指す意向を示している。トランプ米大統領や、中国の習近平国家主席を通じて、この意向は北朝鮮側に伝達されている。

 現実的に、北朝鮮で拉致被害者の解放を決断できるのは、金正恩氏だけである。彼をトップ交渉に引き出すためには、制裁による国際的圧力を強めるしかない。

 だが、それだけでは足りない。日本国民の総意として、非道な拉致に対する怒りを突きつけることが必要だ。熱のこもらぬ、静かすぎる選挙戦は、拉致解決への阻害要因でしかない。

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