「司法改革」に抗議し、高速道路に侵入したデモ隊(左)を取り締まろうとする警察官=イスラエル中部テルアビブで24日、ロイター
イスラエル政府が「司法改革」の関連法案を成立させたことを受け、イスラエルメディアは、国民の約3割が国外への移住を検討しているとの世論調査結果を報じた。今後、国内の対立が悪化することや、安全保障への影響を懸念しているとみられる。
イスラエルメディア「チャンネル13」と世論調査会社「カミーユ・フックス」が25日に実施した調査によると、28%が国外への移住を検討していると回答。イスラエル軍の予備役約1万人が改革に反対し、任務を拒否する意向を表明したことから、54%が国内の安全保障が今後損なわれる可能性があると答えた。また、56%が改革を巡って「内戦」が起きることへの懸念を示した。
ネタニヤフ首相が24日、野党と協議して妥協案をまとめる意向を示したことについて「信じる」と答えた人は33%にとどまった。
また、仮にイスラエル国会(定数120)で選挙が実施された場合、ネタニヤフ氏率いる右派与党「リクード」は現有の32議席から25議席に減少し、野党側が過半数を獲得するとの予測も示された。
イスラエル国会は24日、最高裁の権限を抑制し、政権に権力を集中させる「司法改革」の関連法案を賛成多数で可決した。政権は「司法に過剰な権力が与えられ、政権の法案が妨害されている」として、改革の正当性を主張。野党側は「三権分立が損なわれ、政権の独裁化につながる」と批判しており、改革に抗議する大規模デモが半年以上続いている。【エルサレム三木幸治】