
(写真:読売新聞)
戦後の移民政策で中米ドミニカ共和国に移住した日本人に対し、ドミニカ政府が、事前に約束した農地を割り当てなかった責任を認め、1世帯あたり日本円で2000万円超の補償金の支払いを進めていることがわかった。ドミニカ移民を巡っては、日本政府が2006年に移住を推進した責任を認めている。外務省によると、中南米への移住で受け入れ国側が金銭補償に応じるのは初めて。
ドミニカへの移住は、敗戦後の急激な人口増加を懸念した日本政府が推進し、1956~59年に249世帯1319人が移住した。ドミニカ政府は各世帯に100~300タレア(6~18ヘクタール)の耕地を引き渡すことを約束したとされるが、土地は与えられず、生活は過酷を極めた。
ドミニカ政府によると、補償はドミニカ国内に定住し、これまでにドミニカ政府から代替地などの補償を受けていない45世帯が対象。補償額は844万4444・44ドミニカ・ペソ(約2105万円)で、2022年2月から支払いが始まった。対象から外れた42世帯についても審査をして基準を満たせば補償に応じるという。
ドミニカ移民を巡っては、移住者の一部が損害賠償を求めて日本政府を提訴。東京地裁は2006年、損害賠償請求権が消える「除斥期間」が過ぎたとして請求は棄却したが、国側の不法行為責任を認めた。判決を受けて当時の小泉首相がおわびの談話を発表し、一時金として1人最大200万円を支給した。(ドミニカ共和国西部ダハボン 大月美佳)