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岸田文雄総理の「サラリーマン増税考えていない」発言以降も国民の怒りがおさまらない。ルポ作家の日野百草氏が岸田政権やこれまでの日本政府による「増税しない」発言を検証するーー。
この国の「増税はしない」の嘘の歴史
「サラリーマン増税という報道があるが、自分はまったく考えていない」
岸田文雄首相の言葉だ。7月25日、自民党税制調査会の会長に対して述べた。最初に断っておくが、通勤手当や失業手当、奨学金などに「税制上も対応を検討する必要」とした答申『わが国税制の現状と課題 令和時代の構造変化と税制あり方』の政府税制調査会とは別の機関である。
しかし、「考えていない」とした岸田首相だが与党支持、野党支持関係なく一般国民は「信じられるわけがない」と冷めた見方が大勢を占めた。それは当然の話で、そもそも増税はしないと言って防衛費の増税(のち先送り)を決めたことは事実だし、社会保障費も負担増となった。いわゆる『骨太方針2023』でも退職所得課税制度の見直しが閣議決定されている。これについては拙ルポ「一般国民はもう限界だ…『若者には悪いが、退職金はもうあてにするな』鬼の岸田政権、サラリーマンを追い込んで『手取りをさらに減らす』の刑」でも触れた。
ところで一般国民の多くは気づいているし、また覚えているだろう。この国の「増税はしない」の嘘の歴史を。
「この顔が嘘をつく顔に見えますか?」
筆者が実体験で知るところでは1986年、中曽根康弘首相の「嘘」だろうか、のちの消費税の端緒となった「大型間接税」導入が噂される中、中曽根首相は国民にこう言った。
「この顔が嘘をつく顔に見えますか?」
もちろん嘘であった。
衆参同日選挙で圧勝した自民党は「売上税」と名前を変えて増税を画策した。それを引き継いだ竹下登首相が1988年、「消費税」と名前を変えて増税を実現した。「この顔が嘘をつく顔に見えますか?」の嘘で勝ち取った議席による圧倒的多数の力を見せつけた。
ただただ消費税が上がり続けた
それからしばらく、自民党が下野した1993年に誕生した細川連立政権もまた消費税の名前を変えた「福祉目的税」で増税を目論んだ。自民党政権の消費税を批判した手前、消費税では困るので名前を変えた。それは社会党と新党さきがけを抱き込んで与党に返り咲いた自民党と社会党党首、村山富市首相によって1994年、5%に引き上げる法案成立によって引き継がれた。その後の安倍晋三首相時代の8%、そして民主党政権、野田佳彦首相の2012年に野党となった自公との3党合意「社会保障と税の一体改革」によって消費税は10%になることが決まる。もちろんこれも嘘で、増税は社会保障のためという合意はなかったことになり、ただ消費税が上がるだけとなった。
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