【阪神大震災25年】官邸、危機管理対応を強化の「原点」に


 阪神大震災の発生当時、首相官邸は不十分な情報収集体制により被災地の状況を迅速に把握できず、機能不全を露呈した。震災は、大規模災害における政府の危機管理や初動態勢を強化する上での「原点」となった。

 「震災の経験と教訓を継承し、国民の生命、財産、生活を守り、安心して暮らせる社会の実現に全力で取り組む」

 菅義偉官房長官は17日の記者会見でこう決意を述べた。「激甚化する災害への対応について不断の見直しをしたい」とも強調した。

 当時、官邸や国土庁(現国土交通省)で職員の宿直体制は取っておらず、初動が大幅に遅れた。国土庁にいた警備員が気象庁からのファクスに気づき、職員の自宅に連絡。村山富市首相(当時)に一報が入ったのは、地震発生から2時間近くがたった午前7時半ごろだった。政府は明確な対処方針を打ち出せず、被害拡大を招いた。

 こうした教訓を踏まえ、政府は平成8年に24時間体制の「内閣情報集約センター」を発足させ、災害発生時の情報収集強化を図った。10年には緊急事態の司令塔となる「内閣危機管理監」を設置。現在は災害発生直後に首相に報告が入り、関係省庁の局長級幹部で作る「緊急参集チーム」が初動対応にあたる。

 震災を機に、都道府県知事からの要請を原則とする自衛隊の災害派遣について、緊急時は知事の要請がなくても部隊を派遣できるよう基準を見直した。

 避難所生活を余儀なくされる被災者への対応も変化している。政府は28年の熊本地震以降、自治体の要請を待たずに生活必需品などを送る「プッシュ型支援」を実施。公明党の山口那津男代表は17日の政府与党連絡会議で「被災者に寄り添う思いで政府・与党がともに努力していきたい」と述べた。(清宮真一)



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