豪州が海軍の戦力構造を小型艦中心に変更か、ハンター級が削減の対象に

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オーストラリアのアルバニージー政権は「原潜取得を踏まえた海軍の見直し結果」を9月に発表予定で、水上戦力の構成を大型艦から小型艦に変更し、ハンター級フリゲートの調達数を削減してアローヘッド140に切り替える可能性が浮上している。

31型/アローヘッドは3ヶ国で計10隻の調達が決まっているため運用維持の面でハンター級より有利なのは間違いない

オーストラリアのアルバニージー政権は今年4月に国防戦略の見直しを発表、この中で「30年以上に渡ってテロや中東の紛争に焦点を合わせてきたが、世界は大きく様変わりし、現在の国防戦略で大規模な軍備増強を行う中国に立ち向かうことができない。特に長距離攻撃兵器の普及で軍事力の質的特性が変化=火力の投射距離が飛躍的に拡張されたため、直接侵攻を必要としない「軍事力による強制力」が安全保障上のリスクに浮上した」と指摘した。

豪州が海軍の戦力構造を小型艦中心に変更か、ハンター級が削減の対象に

出典:kremlin.ru / CC BY 4.0

この報告書は「長距離攻撃兵器の普及でオーストラリアの地理的優位性は根本的に低下し、この新しい安全保障環境(ミサイル時代と定義)下では距離のアドバンテージが失われている」と結論付け、豪州北部の基地や港湾施設などのインストラクチャー整備、豪州北部からの長距離攻撃の強化、沿岸機動に対応した陸軍の再編を優先するよう勧告。

具体的には兵舎の改修や優先度の低いインストラクチャー整備を延期もしは中止、次期歩兵戦闘車の調達(450輌→129輌)削減、第2砲兵連隊創設(K9の追加調達)の中止、豪州北部のインストラクチャー整備、上陸用舟艇、HIMARS、海上目標を攻撃可能な長距離攻撃兵器の取得スケジュールを加速・拡大、F-35AとF/A-18FへのJSM統合、MQ-28A開発の優先を勧告、これに政府も原則同意すると記述されているので、新しい国防戦略の勧告事項はもはや決定事項と言ってもいいが、この報告書は「海軍の見直し」をカバーしていない。

豪州が海軍の戦力構造を小型艦中心に変更か、ハンター級が削減の対象に

出典:Royal Australian Navy

原潜取得を踏まえた海軍の見直し結果は9月に発表される予定で、Australian Financial Review(AFR)紙は「大型艦ではなく多数の小型艦で構成された戦力構造に変更すべきと報告書は勧告しており、ハンター級フリゲートが削減対象になっている」と報じている。

ハンター級フリゲートは英26型フリゲートの船体にイージス・システムと国産レーダーを統合して「8,000トン」に収めるつもりだったが、豪海軍の追加要求を反映した予備設計案は「10,000トン」になってしまい、重量が25%以上も増加にも関わらず主機構成が26型と同じだったため航行速度の低下に加え、燃費やランニングコストも悪化してしまった。

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さらにレーダーと推進システムの両方に十分な電力を供給を行うのが難しく「この艦の指揮官は常に電力をレーダーと推進システムのどちらに優先供給するべきか選択しなければならない」と指摘される始末で、問題を修正するため計画は既に4年遅れ、350億豪ドルと見積もられていたプログラムコストも450億豪ドルに高騰しており、度々「調達数の削減=9隻→6隻」が噂されてきたが、AFR紙は「3隻まで調達数が削減される可能性があり、代替艦としてバブコックのアローヘッドに関心を示している」と指摘している。

英海軍が採用を決めた31型フリゲートはアローヘッド140として海外市場に提供されており、この艦の特徴は顧客のニーズに合わせて設計を柔軟に変更(船体サイズは5,000トン~7,000トン)でき、採用する武器やシステムも自由度が高く、省力化技術を積極的に採用しているため最小運用人数は80人~100人(作戦に応じて80人以上の追加要員を収容可能)で済み、インドネシア(2隻)とポーランド(3隻)も採用を決めている人気の高い設計だ。

豪州が海軍の戦力構造を小型艦中心に変更か、ハンター級が削減の対象に

出典:Babcock ポーランド海軍に提案したアローヘッド140

バブコック側も「アローヘッドは豪海軍のニーズを満たす艦艇で現地建造が可能だ。ハンター級フリゲート(180人)と比べて乗組員数を大幅に削減できるため運用コストの面でも有利だ」と主張しており、AFR紙は「ハンター級フリゲートの契約者であるBAEはAUKUS級原潜の調達で多額の報酬を受取る立場であり、これを削減してアローヘッドに切り替える選択は英国との関係を維持する上でも効果的だ」と述べているのが興味深い。

ハンター級の取得コスト(単価ではないので注意)は1隻あたり約13億ドルだが、31型の取得コストは約3.3億ドルに過ぎず、現地建造を選択したポーランドのアローヘッド取得コストは約9億ドル(31型フリゲートよりも重武装でセンサー類も追加が多い)なので一概に比較は出来ないものの、31型/アローヘッドは3ヶ国で計10隻の調達が決まっているため運用維持の面でハンター級より有利なのは間違いないだろう。

豪州が海軍の戦力構造を小型艦中心に変更か、ハンター級が削減の対象に

出典:BAE Systems AUKUS級原潜

恐らく豪海軍の戦力構造はAUKUS級原潜が主軸になり、その影響で有人艦も「複雑で高価な高スペック艦」から「シンプルで安価な汎用艦」にシフト、ここに無人艦艇を加えることで海軍戦力の規模を拡張=能力を分散させることで攻撃に対する耐性を高めてくる可能性(米海軍が採用している分散戦術の豪海軍バージョン)が高い。

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※アイキャッチ画像の出典:Babcock

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