山火事で壊滅状態となった米ハワイ州ラハイナの街=住民提供
【カフルイ(米ハワイ州マウイ島)=後藤香代】米ハワイ州マウイ島で発生した山火事で、地元当局は14日、死者が計99人になったと発表した。ジョシュ・グリーン州知事は、行方不明者が1300人に上ることを米メディアに明らかにした。捜索できていない場所も多く、死者はさらに増えるとみられる。
【動画】ハワイの山火事、ラハイナの通りを焼く
グリーン氏は、米CBSニュースのインタビューで、「何百という死者が出る可能性がある」との見通しを示した。
地元警察によると、捜索が進められているのは島西部ラハイナの火災発生地域の約25%にとどまる。8日に山火事が発生した島の3地域のうち、1か所は火を鎮圧したが、残りの2地域では消防隊員が現在も消火作業にあたっている。再燃を警戒しながらの捜索になり、作業が難航しているとみられる。
遺体で見つかった99人のうち身元が判明したのは3人で、警察は今後、DNA鑑定を進め、15日以降に身元が判明した人の氏名を公表するとしている。
一方、被害が大きいラハイナの住民らは14日までに、送電線が強風にあおられて木などに接触したことが出火原因だとして、電力会社に損害賠償を求める訴訟を起こした。
訴状によると、米国立気象局が火災発生前日の7日から強風警報を発令していたにもかかわらず、電力会社は送電線の通電を止めなかった。住民らは「強い乾燥風で送電線が倒れ、周囲の草木に引火した」と主張し、火事の後は「30本以上の電柱が倒れ、避難を困難にした」としている。