参院選期間中、安倍晋三首相と菅義偉官房長官は激戦区を中心に自民党候補の応援に連日入り、改選複数区などで勝利を引き寄せた。だが、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備をめぐる不手際が影響した秋田は政権中枢の2人が官邸を空けて支持を訴えたにもかかわらず落選するなど、多くの1人区で敗北を重ねた。
首相は21都道府県で自民候補の応援に入り、結果は12勝8敗。広島は応援した現職と新人のうち現職が落選し「引き分け」だった。新元号を発表した「令和おじさん」として人気だった菅氏は6勝9敗だった。広島では新人のみを応援したので、これを「勝利」とすれば7勝9敗だった。
首相と菅氏は複数区の東京や千葉に繰り返し応援に入り、自民の2議席獲得に寄与した。自民現職に野党統一候補が挑んだ東北の1人区にも積極的に入った。
しかし、首相が公示日に応援に立った福島などを除く4選挙区で落選。秋田は、地元出身の菅氏が力を入れたが、逆風をはねのけることはできなかった。
首相と菅氏は、道路整備をめぐる「忖度(そんたく)」発言が問題視された現職が立候補した1人区の新潟にもそれぞれ2回入ったが、当選には至らなかった。
2人とも応援に入った1人区でみると、勝利したのは青森、三重、香川。落選は、秋田、新潟に加え、岩手、宮城、山形、滋賀、愛媛、大分で、3勝8敗だった。激戦区に多く入ったこともあり「勝ち越し」とはならなかった。(中村智隆)