緩和ケア医師が語る、ステージ4がんと向き合う心境

自宅で最期を迎える選択肢の重要性

最近、人々が自宅で最期を迎えることを選ぶケースが増えています。私自身も15年前に、乳がんで闘病中の母を家族と共に自宅で見守りました。その時、在宅診療をしてくれた緩和ケア医の方が、現在はステージ4のがんと診断されながらも、ライフワークとして診療を続けていることを知りました。その方の心境について聞き、再び自宅で母を看取る意味を考えてみました。

患者が治療の決定権を持つべき理由

緩和ケアの第一人者である山崎章郎医師は、東京都小金井市の「聖ヨハネ会桜町病院」で長年にわたり終末期医療に携わってきました。私が訪れた時も、変わらぬ優しいまなざしで迎えてくださいました。山崎医師は、1975年に千葉大学医学部を卒業し、当初は大学病院で外科医として勤務していました。その頃、がん患者の苦しむ姿に直面し、患者が回復の見込みがないにもかかわらず、過剰な蘇生術が行われる様子を目の当たりにしました。そこで山崎医師は、「患者が治療の主役なのに、治療の決定権がないのはおかしい」と感じ、1990年に「病院で死ぬということ」という著書を出版しました。

自宅でのケアを追求する山崎医師

山崎医師は、理想的な終末期医療を追求する中で、1991年に「聖ヨハネ会桜町病院」のホスピス科部長となり、緩和ケア医としてのキャリアを築いてきました。また、2005年には在宅診療専門のクリニック「ケアタウン小平クリニック」を開設しました。これまでに、勤務医を含め、2500人以上の患者を看取ってきた経験を持つ山崎医師の専門性と経験は確かなものです。

がんと診断された山崎医師の感想

山崎医師自身が大腸がんと診断されたのは2018年の夏でした。手術後の抗がん剤治療は、患者が苦しむ姿を見てきた山崎医師も迷いましたが、受けることを決意しました。「多くの患者と接してきた中で、さまざまな苦しみを聞いてきましたが、共感できても共有できていないと感じていました」と山崎医師は語ります。自らが患者の立場になったことで、その思いがさらに強まったのです。

半年後の2019年5月の検査で、山崎医師は両肺への転移が判明し、ステージ4と診断されました。手術や放射線治療は困難でしたが、抗がん剤治療が勧められました。しかし、以前の治療では強い副作用に苦しんだ経験があります。また、副作用が出た場合、医師としての仕事ができなくなる可能性もありました。山崎医師は大切なものを失ったまま人生を終えることを望まず、最終的に抗がん剤治療を断る決断をしました。

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元記事のリンク: https://news.yahoo.co.jp/articles/6921977cbe6d50b44ef418f063106b80589fe226