埼玉県ふじみ野市大井武蔵野の住宅で27日夜に男が散弾銃を持って立てこもった事件で、県警は約11時間後の28日朝、突入に踏み切った。殺人未遂容疑で住人の無職、渡辺宏容疑者(66)を逮捕。人質となった鈴木純一医師(44)は胸を撃たれて死亡した。県警は東入間署に捜査本部を設置し、詳しい経緯を調べている。調べに対し、渡辺容疑者は黙秘しているという。
捜査関係者によると、26日に死亡した渡辺容疑者の92歳の母が数年前から鈴木医師のクリニックを受診。在宅医療を受けていた。27日は、渡辺容疑者から呼び出され、鈴木医師や男性理学療法士(41)、30代の男性医療相談員ら計7人が訪れたという。県警は在宅医療をめぐるトラブルが背景にあるとみている。
捜査本部によると、27日午後9時15分ごろ「発砲音があった」などと119番通報があった。警察官らが駆け付けると、住宅前で男性理学療法士が胸を撃たれて倒れていた。重体だという。男性医療相談員も催涙スプレーを吹きかけられて、署に駆け込んだ。目の痛みを訴えた。
渡辺容疑者は医師を人質に立てこもり、捜査員が固定電話を通じ交渉を続けていた。渡辺容疑者は精神的に不安定な様子で、鈴木医師の状況が判然としなかったという。