終戦直前に出撃した戦闘機「紫電改」、貴重な遺産として守る…愛媛の展示館建て替えへ

紫電改展示館の建て替え計画

愛媛県愛南町にある紫電改展示館は、太平洋戦争末期に製造された旧日本海軍の戦闘機「紫電改」を国内で唯一保有しています。しかし、展示館が老朽化したため、初めて建て替えることが決まりました。一方、紫電改の機体は約40年前の展示当初に補修された後はほぼ手つかずの状態で保管されています。専門家たちは、この貴重な戦争遺産として機体を保護することを訴えています。愛媛県では、機体の劣化状況を調査することも検討しています。

紫電改の特徴と戦いの結末

紫電改は全長9・34メートル、主翼11・99メートルの大型戦闘機です。そのスピードや上昇機能は優れており、終戦間際には約400機が製造されました。

展示されている機体は、終戦直前の1945年7月24日に起きた戦闘で使用されました。当時、米軍機の編隊を迎撃するために長崎県の大村基地から出撃し、豊後水道上空で交戦しました。残念ながら、6機のうちの1機は帰還することなく、愛媛県の最南端に位置する愛南町の沖合に沈んでしまいました。

機体の発見と引き揚げ

紫電改の機体は78年に地元のダイバーによって発見され、翌年には愛媛県によって水深約41メートルから引き揚げられました。機体はプロペラ4枚が折れ曲がっていましたが、原形は残っていました。ただ、遺骨や遺品は見つかっていません。

展示館の役割と訪れる人々

愛媛県は80年に展示館を開館し、紫電改が沈んでいた海域を望む山の中腹に設置しました。補修とさび止め処理を施した機体は館の中央に展示され、発電機や燃料ポンプなども並べられています。

年間約2万人が展示館を訪れ、遺族や元搭乗員らが平和の大切さを訴えるための証言映像や搭乗時に使用された品々を寄贈しています。ここは戦争の記憶を共有する場となっているのです。

新館の建設計画と今後の課題

近年、展示館の老朽化が目立ってきました。今年度、愛媛県は展示館の設計委託費約4200万円を計上しました。そして、新館の建設は26年度までに予定されています。

展示館の職員である永元一広さんは、「戦時中のことを証言できる人が減っているため、現存する機体を見て平和について考えてほしい」と話しています。愛媛県は新館に機体を移動させる際に、機体の強度や劣化状況の調査も行う予定です。

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