雨で新幹線の運行乱れ、被害を受けた乗客に損害賠償の可能性はあるのか?

台風による大雨で新幹線のダイヤが乱れました

8月17日、お盆休み明けになっても東海道・山陽新幹線は大幅な遅延が続き、新大阪駅では大混雑となっていたそうです。台風に伴う大雨の影響で、多くの人々が旅行や仕事の予定に被害を受けたようです。

ダイヤ乱れによって被害を受けた乗客は損害賠償を請求できるのか?

新幹線のダイヤ乱れによって旅行や仕事の予定が狂った場合、鉄道会社に損害賠償を求めることはできるのでしょうか?この問題について、弁護士の甲本晃啓さんに聞いてみました。

鉄道会社に賠償を求めることはできない

結論から言うと、鉄道会社に賠償を求めることはできません。

法律上、鉄道会社は旅客が運送のために受けた損害を賠償する責任を負っていますが、鉄道会社に過失がない場合は賠償が制限されることがあります。今回のダイヤの乱れは天候の影響で発生したものであり、鉄道会社に過失はないため、賠償を求めることはできないのです。

旅客運送約款が適用される

切符を買う際には、「旅客運送約款」という鉄道会社が定める契約条項が適用されます。多くの鉄道会社では、この契約条項によって責任範囲が制限されています。鉄道会社の過失の有無にかかわらず、出発駅までの無賃送還や払戻し以外の対応は要求できないとされています。

JR東海の場合、同社の旅客運送約款では、このような内容が定められています。

賠償制限の理由について

なぜ鉄道会社は賠償を制限しているのでしょうか?

鉄道会社が個別に補償を行っていたら、現在の料金制度は成り立たない可能性があります。鉄道は安く利用できる大量輸送機関として、誰もが公平に利用できることが求められています。そのため、旅客運送約款によって賠償を制限することは法的に問題がないと考えられています。

今回のダイヤの乱れはお盆期間と重なり、多くの人々が影響を受けました。しかし、鉄道会社やその職員は終夜運転に近い状況で尽力し、身近な移動手段としての使命を果たそうとしていました。私たちは、列車の位置情報や公式ホームページから情報を得ることで、少しでも混雑やストレスを避けることができるでしょう。

【取材協力弁護士】
甲本 晃啓(こうもと・あきひろ)弁護士
理系出身の弁護士・弁理士。東京大学大学院修了。丸の内に本部をおく「甲本・佐藤法律会計事務所」「伊藤・甲本国際商標特許事務所」の共同代表。専門は知的財産法で、著作権と特許・商標に明るい。鉄道に造詣が深く、関東の駅百選に選ばれた「根府川」駅近くに特許事務所の小田原オフィスを開設した。
事務所名:甲本・佐藤法律会計事務所
事務所URL:日本ニュース24時間