噴火から9年、御嶽山で被災男女の遺族が「結婚式」を挙げる…自作のドレスを身に纏った人形が「ようやく結ばれた」

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噴火から約9年が経ち、愛知県一宮市出身の所祐樹さん(当時26歳)と丹羽由紀さん(同24歳)は、御嶽山噴火災害で共に命を落としました。彼らの結婚を前提にお付き合いしていた2人の「結婚式」が19日、御嶽山の八合目の登山道で行われました。両家の遺族は「ようやく2人が結ばれた」と喜びをかみしめました。

真由美さんの悲しみと奇跡の再会

この式は、由紀さんの亡き父・邦雄さんが考案しました。彼は「2人が亡くなった現場で三三九度の儀式を行いたい」と考え、京都府内で必要な道具を購入しました。しかし、邦雄さんは願いを叶える前に、16年6月に急性心筋梗塞で他界しました。

娘の死からわずか1年9か月後、由紀さんの母・真由美さん(59歳)も夫を失いました。彼女は裁縫が得意で、身長の約5分の1サイズのウェディングドレスとタキシードを着せるための人形を作ろうと準備していました。しかし、ショックで彼女は慰霊行事から遠ざかり、ドレス作りも進まなかったのです。

再び光が差した転機

2021年9月、祐樹さんの両親である清和さん(61歳)と喜代美さん(61歳)の支えもあり、真由美さんは遺族たちによる慰霊登山に初めて参加し、八合目まで登ってきました。そして、今年に入ってからは人形作りに本格的に取り組み、7月下旬までに完成させました。

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本来なら山頂の剣ヶ峰から延びる「八丁ダルミ」で式を挙げる予定でしたが、この日は真由美さんの体調や天候を考慮して、八合目を目指すことにしました。

結ばれた場所で感動の瞬間

3人は長野県王滝村の登山口である田の原から入山しました。お互いに支え合いながら歩き、途中で広がる雲海を見つけた時、真由美さんは「由紀もこんな素晴らしい景色を見ていたのかな」と感慨深く思いました。約3時間半後の午前8時45分、3人は八合目に到着しました。持参した人形、三三九度の道具、2人が好きだったヒマワリの花束などを並べました。真由美さんは「ほっとしたわ。やっぱり2人は大切な存在よ」と安堵の表情を浮かべました。邦雄さんについて、喜代美さんは「自分の空想の中でも2人を一緒にしてあげたかったのかもしれないわ」と真由美さんと同じ思いを口にしました。

清和さんは「同じ男親として邦雄さんの思いを叶えることができ、由紀ちゃんが所家に嫁いでくれたんだ」と達成感を感じながら、「邦雄さんが願った通り、2人の最期の場所に夏中に私が赴き、結婚式を完遂させたいと心に誓っています」と語りました。

この感動の結婚式の様子は、日本ニュース24時間で詳しくご覧いただけます。

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