ウクライナ軍の作戦に影響する誤った兵力配置
ウクライナ軍が進める大反撃作戦が順調に進まない理由が明らかになりました。西側関係者らによる分析によれば、戦略的に重要な地域に兵力を集中させず、逆に重要性が低い地域にも分散してしまったことが原因です。
米国の官僚たちは、「ウクライナ軍はあまりにも分散しており、戦闘力を1カ所に集中できない状態になっている」と口をそろえて話しています。
ウクライナ軍は、6月からロシアに奪われた領土を取り戻すための大反撃作戦を開始しました。主な目標は、ロシアが占領するクリミア半島とロシア本土を結ぶ陸路を断ち、ロシア軍の補給線を遮断することです。
そのためにも、南部のメリトポリを奪還する必要があります。しかし、ウクライナ軍はまだ東部のバフムトなどで多くの兵力を配置していると指摘されています。
このような状況には、ウクライナ指導部が東部で失った領土の奪還を諦めているように見えることや、兵力と装備の均等配分による派閥対立を最小化しようとする旧ソ連時代の旧習が影響していると指摘されています。同様に、ロシア軍も同じような制約により戦略的な優先順位を設定できなくなっていると報じられています。
西側は、メリトポリに向かう進撃に集中するようウクライナ軍にアドバイスしています。実際、米統合参謀本部議長や英統合参謀本部議長、NATO欧州連合軍最高司令官などが、ウクライナ軍のザルジニー総司令官に対して「戦闘力を1カ所に集中させるよう」指示を出しています。匿名の米官僚は、「戦術を変えれば大反撃の速度が速くなるかもしれない」と語っています。
一方、一部の意見では、バフムト一帯に兵力を集中させて、ロシアによるウクライナ北東部への攻撃を防御する必要があると主張しています。
クレムリン近くで爆発音
また、23日の午前には、モスクワのクレムリンから約5キロ離れた商業地区で爆発が発生しました。モスクワ時間で午前3時ごろ、高層ビルが集中する商業地区で爆発音が響き、しばらくして建物から煙が上がり始めました。モスクワ市の市長は、「建設中のビルにドローンが当たり、窓が割れる被害を受けた」と報告しました。
しかし、ロシア当局によれば、この攻撃による人的被害はなかったとのことです。ロシア国防省によると、この日明け方にウクライナのドローン2機が防空システムによって撃墜され、残り1機は電子戦装備によって制圧されましたが、コントロールを失い商業地区の建物に衝突し、爆発が発生したとのことです。このドローン攻撃により、前日に続き今日もモスクワのすべての空港の運営が一時中断されました。
最近、モスクワを狙ったドローン攻撃が続いています。5月にはクレムリンを狙ったドローン攻撃が試みられ、先月末と今月初めには高層ビルが2回攻撃されました。さらに、18日には防空網に撃墜されたドローンの破片がモスクワエキスポセンターに落ち、建物が一部損傷しました。21日には防空網に撃墜されたドローンが墜落し、2人が負傷しました。これに関連して、ウクライナがロシア本土に対する恐怖を刻みつけ、主導権を握る戦略だとの分析が出ているようです。
原文リンク: 日本ニュース24時間